正確な記憶ではないけれど、ハイジたちは高原で花々が自生しているところのことを「お花畑」と呼んでいたと思う。それを見ながら「畑」じゃねえよとツッコミをいれていた。
しかし、実はぼくの方が間違っていた。ハイジは正しく「お花畑」を定義していたのだ。
『広辞苑』をみる。
お‐はなばたけ【御花畑・御花畠】
夏に高山や高原地帯で、種々の高山植物の花が広く密生・群落して、壮麗な景観を呈する所。日本アルプス・八ヶ岳山塊中のものは代表的。
どこにも人工的な畑であるとの記述はない。『三省堂国語辞典』の第四版も同じような定義だ。
どうやらお花畑は「畑」ではないのだ。「まるで畑で育てたように」という比喩的表現だったのかもしれないな。
そんなことを思いながら『広辞苑』で「はなばたけ」をみてみた。やや混乱してしまう。
はな‐ばたけ【花畑】
草花を栽培する畑。→お花畑
頑張って解釈すると、どうやら「おはなばたけ」と「はなばたけ」は違うものであるらしい。『大辞泉』の解説がなかなか丁寧だ。
お‐はなばたけ 【▽御花畑/▽御花×畠】
1 「花畑」の丁寧語。
2 高山で、高山植物が群生する場所。夏の短期間にいっせいに開花するところからいう。
そう。やはり「おはなばたけ」という言い方は比喩的表現であったのだ。整理しよう。
- はなばたけ
花を育てる場所や畑 - おはなばたけ
「はなばたけ」の丁寧語であることもあるが、一般には高山植物が群生するところのこと。
もしかすると常識なのかな。ぼくは知らずに半世紀近くを過ごしてしまったなあ。