気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

イチジクは「倒卵形」だそうだが、「卵形」と呼んでもいいのではないだろうか?

日経新聞にイチジクについてのエッセイがあった。

どうやら「1ヵ月で熟すから」は眉唾ものかな?

広辞苑』には次のような記述もある。

(中世ペルシア語anjirの中国での音訳語「映日果(インジークォ)」がさらに転音したもの)

と、思ったが『日本大百科全書』には次の記述もある。よくわからないな。

名の由来は『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』に「俗に唐柿(からがき)という。一月にして熟すゆえに一熟(いちじゅく)と名づく」によるという。

ところで『日本国語大辞典』などでは、イチジクの形を「倒卵形」としている。恥ずかしながら「倒卵形」という言葉自体を聞いた記憶がないけれど、やはり細い方が下になっていると「倒卵形」なのだろう。

しかし、だ。なぜイチヂクは「倒卵形」なのだろう。「卵形」でも良いんじゃないのか。実が必ず「倒卵」スタイルでなるわけでもないように思うしなあ。

イチジク (NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 )

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ちなみにこの「倒卵形」、かなり多くの辞書で立項されている(『三省堂国語辞典』にはないようだ)。『岩波国語辞典』は「卵をさかさまにしたような形」と、そのまんまな語釈を載せている。

ちょっと気になるのは『新明解』だ。

とうらんけい【倒卵形】
ニワトリの卵のとがった方を下にした形。

「ニワトリ」を入れるのは、わかりやすくしようとしてのことなんだろうな。もちろんうずら卵でもOKのはず。「ニワトリなどの」とした方がわかりやすくはなかったか。

さすが歴史ある果物で、謎をたくさん含んでいる存在だ。

 

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