気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「怪僧」という言葉、ラスプーチンを形容する以外にも使うのか? なんと広辞苑には…

「怪僧」といえば下に続くのは「ラスプーチン」。どんな人だか知らなくても「怪僧」ときけば即座に「ラスプーチン」と反応する。

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ところでこの「怪僧」という言葉、「ラスプーチン」以外にも使うんだろうか。

「怪僧」という語が辞書にのっていれば一般的な語と言っても良いのかもしれない。しかし『新明解』をみるといっそうの混乱を感じたりもする(上図)。

確かに一般的な用語らしく立項している。しかし用例がそのまま「怪僧ラスプーチン」だ。もしかするとこれ以外に用例はないんじゃないのか。「怪僧」は「ラスプーチンオンリー」なんじゃないのか。

そんな疑いを強めてくれるのが『広辞苑』だ。なんと広辞苑には「怪僧」という語が立項されていないのだ。

そう思って探してみると『明鏡』にもない。『岩波国語辞典』にも『現代国語例解辞典』や『ベネッセ表現読解国語辞典』にもない。

ふ〜む。実は立項している辞書の方が少ないのだろうか。しかし小型辞典の代表格とも言える『三省堂国語辞典』や『新明解』には載っているんだよなあ。『日本国語大辞典』も立項しているが、しかし用例は『新明解』と同様「怪僧ラスプーチン』だ。

どうやら、「怪僧」という言葉はさほど一般的なものではなく、基本的には「ラスプーチン」とともに用いる言葉なのかもしれない。

ちなみに『日本国語大辞典』は、僧としての人的能力よりも政治的な行動面に着目した語釈となっているのが面白い。一応ひいておく。

かい‐そう[クヮイ:] 【怪僧】
〔名〕
不思議な力を持ち、暗躍する僧。 「怪僧ラスプーチン

怪僧ラスプーチン―ロマノフ朝の最期

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