気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「毛玉」は英語で「ピリング」とか「ピル」などと呼ぶ

「毛玉」を「ピリング」と呼ぶなんて全く知らなかった。そんなことを知るきっかけとなったのは次のようなツイートだった。

ツイート内のリンク先に飛ぶと、次のような情報がみつかった。

「ピリング」という言葉自体、聞いたことがないように思う。「パイル織物」からきているのかと考えた。でもそれもハズレ。なんと「薬」などを意味する「pill」に「毛玉」という意味もあるんだそうだ。

面白いので『ランダムハウス英和大辞典』を引いておこう(抜粋)。

pill1
n.
1
(1)丸剤,丸薬
(2)(the pill,時に the P-) (話) ピル,経口避妊薬(birth-control pill)
(3)(米俗) 麻薬のカプセル.
2 (比喩的)
(1)(甘受しなければならない)不愉快なこと,つらい経験
(2)(俗) 嫌なやつ,退屈で不愉快なやつ.
3 球形のもの.
(1)(俗) 〔スポーツ〕 (特に野球・ゴルフの)ボール.
(2)(こっけい) (大砲・小銃の)弾丸;爆弾.
(3)(pills)(卑×) きんたま;でたらめ,くだらないこと.
4 (pills) (英俗) 玉突き,フットボール,テニス(など).
5 (俗) 紙巻きタバコ;マリファナタバコ;アヘン1服分;(米) 覚醒(かくせい)剤(特に Nembutal).
6 (しばしば pills) (話) 医者.
7 〔繊維〕 毛玉,ピル.
━━ v.t.
1 〈人に〉丸薬を飲ませる
2 〈薬剤を〉丸薬にする;丸薬状に丸める.
3 (俗) …に反対投票する,…を落選させる,排斥[除名]する;〈受験者を〉落とす.
━━ v.i. 〈羊毛のセーターなどが〉小さな毛玉を作る.

知らない意味がけっこうある単語だったのだなあ。

もちろん国語辞典辞典もみてみる。『日本国語大辞典』はずいぶんとあっさりだ。

け‐だま 【毛玉】
〔名〕
毛糸編物や、毛メリヤスの表面の一部が寄ってできた小さい玉。

なんとなくわからないでもないが、「毛メリヤス」ってのがよくわからないしな(ちなみに「メリヤス」というのも国語辞典を引いてみるといろいろ難しい)。

広辞苑』をみてみた。

けだま【毛玉】
(1)セーターなど毛糸の衣類で、表面の繊維が寄り集まってできる小さな玉。
(2)動物の毛が玉のように丸まったもの。

「メリヤス」がどうこうというのはとりあえず無視してOKっぽいな。念の為、わかりやすく記述することを使命としている『三省堂国語辞典』をみてみた。

けだま【毛玉】
(名)
(1)メリヤスや編み物の毛の一部がかたまって、小さなたまになったもの。ピリング。
(2)ネコが飲み込んだ毛が、胃の中で玉になったもの。

またメリヤスか。でもそれより注目したいのは「ピリング」の記述。国語辞典でも「毛玉」を「ピリング」であると説明しているものがあるんだな。意外に「ピリング」はメジャーな言葉なんだろうか。

ちなみに、『明鏡国語辞典』や『ベネッセ表現読解国語辞典』に「毛玉」はないようだ。

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