『明鏡』を眺めていて「意気衝天」という語に出会った。
「意気消沈」は普通の言葉だろうけれど「意気衝天」はどうだろうなあ。
意味は「意気込みが天を衝くほどに、盛んなこと」だ。
ってことはこれ、「意気消沈」の反対語なんだろうか。でも「意気消沈」の反対語には「意気軒昂」という言葉が用意されている。語感もなんだか「意気軒昂」の方が「正統派」っぽい。
試しに「意気軒昂」を『明鏡』で見れば「意気込みが盛んで元気なさま」とある。やはりこちらの方が正統派の「意気消沈の反対語」という感じはするな。
『日本国語大辞典』をみれば、「意気軒昂」は1898年の用例があがっているものの、「意気衝天」は1929年の用例が最も古い。
誰かが調子にのって作った言葉であるのかどうか。たぶんそうなんじゃないかと思う。「そんな言葉はねえよ」と言われつつ、19世紀末に登場してきたのじゃないか。
ところで『明鏡』の場合、補足が面白い(他の辞書をざっとみたところでは、こんなにユニークな補足はなかった)。
すなわち「意気昇天」は誤りであるとのこと。そりゃそうだろう。意気が昇天してしまっては「盛ん」にはなるまい。