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死語となった「チリ紙」(ちりし)

小学校低学年の頃。大分県杵築市寺町というど田舎(当時)に住んでいた。トイレも汲み取りばかりだったし、向かいの家は風呂も薪だったな。

そんな頃、ぼくたちは「トイレットペーパー」なんてものを持たなかった。何で用を足していたかといえば「ちりし」(ないし、ちりがみ)だ。

ティッシュ」なんてものがあったかどうか記憶にないが、学校の持ち物検査では「ハンカチとちりし」のチェックをされたものだったな。上にあるような「平判ちり紙」を四つ折りにして携帯していたのだ。右ポケットにハンカチ、左ポケットにちりし、って感じだったか。

ちなみに『日本国語大辞典』でみると「ちりし」は「ちりがみに同じ」ということで空項目になっている。「ちりがみ」は次のような感じだ。

ちりがみ【塵紙】
〔名〕
楮(こうぞ)の外皮のくずですいたり、屑紙をすき返したりして作った粗末な紙。表面に塵滓(かす)があるのでいう。鼻紙や落とし紙として用いた。また、一般に鼻紙や落とし紙のこと。ちりし。

さて。ここで自分の記憶がよくわからなくなる。ぼくは「ちりし」と「ちりがみ」を区別していたような気がするんだな。すなわち鼻紙などに用いるものを「ちりし」と言い、あまり用途が見いだせない紙を「ちりがみ」といっていたような気がする。

まあ既に45年ほども前のことであり、一気に「ティッシュ」やら「トイレットペーパー」ないし「ポケットティッシュ」のみならず「ウェットティッシュ」なんかも登場してきたので、昔に用いていた言葉もほとんど正確な記憶としては残っていないんだけれども。

ま、いずれにせよ、いまどきは「ちりがみ」も「ちりし」も死語かな。50年を生きたぼくですら「ちりし」や「ちりがみ」という言葉を用いることはない。