気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「映画」の語釈はなんとかならんのか?

「映画」についての国語辞典の語釈がよくわからない。ぼくが馬鹿だから、というのはある。ただもう少しわかりやすくすべきだと思う。

たとえば、「わかりやすさ」を意識しているはずの『新明解』はこんな感じ。

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えいが【映画】
高速度〔=一秒間に二四こま程度〕で連続撮影したフィルムを、映写幕に同速度で連続投影して、被写体の形や動きを再現するもの。(略)

 よくわからねえな。

何に対して「高速度」なのか。「同速度」で「連続投影」しない場合はどんなふうになるのか。「被写体の形」などは写真でも再現するものだが、映画の場合はどのような変化があるのか。

最初これは(よくある)『新明解』の「狙いすぎ」なんだろうと思った。ところがこれが「標準」であるらしいのに驚きを感じるな。

広辞苑』を見る。

えいが【映画】
長いフィルムに連続して撮影した多数の静止画像を、映写機で急速に(1秒間15こま以上、普通は24こま)順次投影し、目の残像現象を利用して動きのある画像として見せるもの。(略)

確かに「そりゃそう」ではある。ただそれは、ぼくたちが「映画とはそういうもの」という知識を持っているからじゃないかと思うのだ。「映画」というものを知らずに、『新明解』や『広辞苑』を見て「ああ、映画ってのはそういうものか」なんて思わないように感じる。

そう思ったならば、やはり「誰にでも通じるわかりやすさ」を目指す『三省堂国語辞典』だろうか。

えいが[映画](名)
物の形・色を写したフィルムを回して、スクリーンの上に動きをあらわして見せるもの。

なるほど。『三省堂国語辞典』らしいかもしれない。ただ、意味はわからないな。 「物の形・色」を写さないフィルムがあるんだろうか。フィルムを「回す」とは、なにかトリックアートじみたことをするのだろうか。

 

「映画」をどう定義すべきなのかはおいといて、とりあえず手元の辞書にある「映画」は「ひどい」感じがする。そんなことはないだろうか。

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