「風呂敷」ってのはぼくの世代のちょっと前まで「一般的」な道具だったと思う。ぼくの世代(ちょうど50歳だ)あたりから使わなくなったんじゃないかな。
ところでこの風呂敷。なぜ「風呂」敷というのだろう?
いろんな説があるみたいだから、国語辞典が正しいと決めつけるのは危険だけど、まあ国語辞典説を引いておこう。
たとえば『岩波国語辞典』はこんな感じ。
ふろしき【風呂敷】
物を包んで持ち運ぶための、四角い布。▷もと、湯殿に敷いて、衣類を包んだり足をふいたりした布。
ほうほう。もともと「風呂」に関係があったから「風呂敷」というのだな。愚かなぼくは「風呂」と「風呂敷」を結びつけて考えることもなかった。
『新明解』も、強く「風呂」との関わりを主張するな。
ふろしき【風呂敷】
〔もと、風呂に入る時に衣類を包んでおくものの意〕物を包む(包んで持ち歩く)のに使う四角な布。
「四角な」の言い方がセクシーだけど、まあそれは本題じゃない。
しかしともかく「風呂」と関わりがあったらしいな。
まあ『三省堂国語辞典』のように「風呂」に言及しない辞書もある。
ふろしき[風呂敷]
(名)ものを包む、四角な布
ふーん。とりあえずこちらも「四角な」だ。「四角い」という言い方はもしかして「誤用」から始まったのかな。まあそれはいずれ調べてみよう。
ちなみに『明鏡』は「四角な布」を一歩すすめて(?)「正方形の布」と定義している。まあ確かに正方形でない風呂敷はみたことがないかな。
なんとなくわかったようなわからないような感じ。
もっともらしい『岩波国語辞典』を再度ひくと「湯殿に敷いて、衣類を包んだり足をふいたりした」だ。湯殿に敷いたのは、衣類を包むためなのか、足をふくためなのか。衣服を包むためであれば湯殿に「広げた」だけであって「敷いた」のではないのではないか。
まあそんないちゃもんをつけたくなるが、こういう愚かないちゃもん野郎に対し、『日本国語大辞典』だわかりやすく説明しているみたいだ。
ふろ‐しき 【風呂敷】(1)入浴の際、衣類を脱いで包んだ布。風呂からあがったあと、その布の上で衣服をつけた。また、風呂褌など入浴用具を携行するのに用いた布。
(2)物を包む四角形の布。一般には元祿(一六八八〜一七〇四)のころから用いられた
(3)常に風呂敷包みを背負っている商人をいう。呉服屋などの類。
(4)じゃんけんで、五本の指を全部開いた形。かみ。ぱあ。
日本語として、辞書的に正しく説明しているように思えるな。
まあそれでもわからないことはある。でもともかく、風呂敷は「風呂」に関わる言葉だったんだな。当たり前のことながら、ちゃんと考えてみなかった自分に驚きを感じてみたりもする。