数学系の話が続く。今回は「数列」を引いてみた。最初に『大辞泉』を見て、まったく意味がわからなくて笑った。
1番目の語釈に曰く「2、3か5、6ぐらいの列。いくつかの列」。わかんねーよ、こりゃ。いや、嫌味とかではなく、ほんとうにぼくには意味がわからなかった。
数列といえば等差とか等比とか階差とかそういうものでしょう? それが「2、3か5、6ぐらい」ってのはなんなんだ?
悩んだのち、他の国語辞典をみてようやく意味がわかった。
たとえば『日本国語大辞典』の2つ目の語釈。曰く「三〜四列、五〜六列ぐらいの列の数を、ばくぜんという語」。
なるほど、『大辞泉』の「数列」は、数学的数列の話ではなく、物理的な「列」の話だったのだな。すっかり数学的な数列を意識していたのでわからなかったのだ。
数学的数列でない語釈はほかの辞書もたいてい行なっているみたいだ。
『広辞苑』は「いくつかの列」。『明鏡』も「いくつかの列。二、三あるいは五、六ぐらいの列」。
まあ「数列」を「いくつかの列」の意味で使うことは確かにあるな。しかしその意味の語釈をみるために国語辞典を引くことがあるんだろうか。どうも「いらない語釈」というか、混乱させる(とくに『大辞泉』)語釈かなあと感じる。
なお、数学的意味の「数列」を定義していても難しいものも多い。『日本国語大辞典』もなかなかのもの。
すうれつ【数列】
(名)(1)数の列。自然数1、2、3…に一つずつ数を対応させることによって得られる。終わりがあるかどうかにより有限数列または無限数列という。
(2)は先に引いたので略。いま考えたいのは数学的「数列」なんだけど、それを定義しているらしい上の『日本国語大辞典』の語釈は理解できるだろうか(ぼくにはできない)。
『広辞苑』もけっこう難しい。
すうれつ【数列】
(1)〔数〕ある規則に従って数をa1、a2、a3…an…と一列に並べたもの。すなわち自然数全体の集合から数の集合への写像を数列という。
『日本国語大辞典』より難しいかな。「一列」という言葉を日常語のように語釈に混ぜる必要はないと思う。「自然数」と「数」はどちらが大きな集合なのかもよくわかんないな。
前にとりあげた「ベクトル」でもそう思ったけど、辞書編纂者というのは「すごい文系」のように思えてくる。
まあ、いろんな「数列」を定義するのは確かに難しいことではあろうけれども。
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