「綺羅星のごとく」という言葉がある。ふと「綺羅、星のごとく」なのか「『綺羅星』のごとく」なのかが気になった。
すなわち「綺羅星」というものがあるのかどうかが気になったって話。
確か「綺羅、星のごとく」だったような気もするけれど、もしかすると途中にブレイクをいれるのがなんだか格好良い(?)からだったか?
わからなくなったので国語辞典をひいてみた。まずは『日本国語大辞典』から。
きら‐ぼし 【綺羅星・煌星】
(「綺羅、星のごとし」を続けてつくった語)
夜空にきらきらと輝くたくさんの星。また、明るいものや立派な人などが数多く並んでいることのたとえに用いる。
すなわち「オリジナル」は「綺羅、星」だったわけで、やはり切って読むのが正しいんだっけ。それとも「つくった語」ではあるけれど、その語が指す実態としての「綺羅星」というものもあるのだろうか?
こたえは『明鏡』、『三省堂国語辞典』、あるいは『新明解』などいろいろな辞書に記されている。
『新明解』をひいておこうか。
綺羅星
〔「綺羅、星のごとく」を誤り続けた語〕美しく輝く星。
ちなみに、上の「誤り続けた」は「長い間誤って」ということではなく、「誤って、続けた」の意味(あたりまえか(笑))。
すなわち、「綺羅星」というものはあるわけだ。なにかといえば「美しく輝く星」のこと。「綺羅星の輝きも、君の笑顔には及ばない」とかなんとか。そんなふうに使うのか。
ただし、その「綺羅星」の存在は「誤用」により生まれたもの。すなわち「綺羅星」は虚像なのだ。
では、正しく使う「綺羅、星のごとく」とはどういう意味なのか。
『新明解』の記述はわかりにくいが、他の辞書も併せ読むに「正装をして着飾った人が星のごとくいならぶ」という意味であるようだ。
すなわち「綺羅星」ものはないわけだ。
さらに。たとえば「君は綺羅星のようだ」と言われると、なんとなく「星のように美しいと言っているのかな」と解釈してしまいがち。しかしぜんぜん違う。「綺羅星」の「星」は「たくさんある/いる」ということを意味する表現であるらしい。美しいのは「綺羅」であって、「綺羅星」ではないのだ。
いじわるく解釈すれば、「君は綺羅星」の意味は、「君は十人並だね」というような意味になるんだろう。
いろいろと勉強になった。