馬鹿なので、「フェロモン」というと、どうにも「エッチ」なイメージをもってしまう。ちゃんとした「生物学的」(?)用語なのであるなあ。しかも「ホルモン」とはごく近い関係であるようだ。
内分泌系のはたらきが個体の外にまで拡がったとき、その化学的信号はもはやホルモンとはよばれず、フェロモンとよぶ慣わしになっている(フェロとは運ぶことを意味しており、この言葉は運ばれるホルモンを意味する合成語である)。
— maeda hiroaki (@torisan3500) February 1, 2018
via 『心の起源』(木下清一郎)
個体の中にとどまれば「ホルモン」で、外にも影響をおよぼせば「フェロモン」らしい。
フェロモン
動物の体内から分泌・放出され、同種の他の個体の行動や生理状態に影響を与える物質の総称。多くの昆虫の性フェロモン、アリやミツバチの警報フェロモンなど。
ふむ。「フェロモン」がこういうものであることは、なんとなくイメージしていた。しかし「ホルモン」との連携については、考えたことがなかったな。
ホルモン
内分泌腺など特定の組織または器官から分泌され、血液と共に体内を循環し、特定の組織の機能に極めて微量で一定の変化を与える物質の総称。甲状腺ホルモン、性ホルモン、昆虫の変態ホルモンなど。
引用はいずれも『広辞苑』第七版から。こうして並べてみると、なるほど「同じもの」であるように見える。
しかし「ホルモン」と「フェロモン」が似たもの同士であることなんて、国語辞典には書いてないよなあなんて思っていると、『新明解』にはずばり記述があった。
フェロモン
pherein(運ぶ)+hormone(ホルモン)。昆虫や哺乳類が出す化学物質。この物質によって、同種の他の個体が刺激を受けて、特有行動や生理的反応を引き起こす。
不勉強にして意識したことがなかったけれど、「エッチ」系用語としての「フェロモン」は、なんらかの生物学的発見だかなんだかをもとにして流行したのかもしれないな。
「フェロモン」と言われると「キワモノ」的イメージをいだいてしまっていたぼくは、ずいぶんとイエロージャーナリスティックな情報に汚染されているということなのだろう。
ところで、ぼくの頭がジャンク情報で満たされていることを教えてくれた『心の起源』。まだ数ページを残してはいるものの、なかなかおもしろい本だった。「科学」に「ロマン」を持ち込みすぎているようにも思えるけれど、かといって自分勝手な論理破綻もなく、とてもおもしろく読めた。
「心」と「起源」が合体するとエセ科学になるという方程式が(ぼくの中には)あったけれど、それを覆す初めての事例だった。と、いいつつも『リング』や『らせん』に繋がりそうな、空想科学的興味で読み進めることもできる。
楽しい読書時間だった。