気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「スリル」は「楽しい」。

日本国語大辞典』を眺めていた。「ほう」と思ったのは「スリル」の定義。「なにこれ、わかった風じゃん」みたいなことが書いてあった。

スリラー

スリラー

 

ちなみに、ふつうの辞書なら「スリル」はこんな感じ。例として『三省堂国語辞典国語辞典』をみてみる。

スリル
<ぞっと/はっと>するような感じ。戦慄。

まあ「スリル」を定義しろと言われるとこんな具合になるのかなと思う。『岩波国語辞典』も『新明解』も同じような感じだ。

で、そんな中で「わかったふー」なのが『日本国語大辞典』。いやみな感じがしないでもないんだけど、まあすなおに「ほー」とも感じた。

スリル
({英}thrill )
それ自体不快ではなく、むしろ楽しみの対象となるような恐怖感・不安感。また、それに付随して起こる緊張感。そのような感覚を生じさせるさまにもいう。

「ほー」。「それ自体不快ではなく、むしろ楽しみの対象となる」ってのはなかなか良い感じに思う。

日本国語大辞典』第二版以降に出た辞書が追随していないのが、ちょっと不思議な感じだ。

ちなみに、ぎょうせいの『類語連想辞典』を見てみると、「わくわく」も載せていた。偉いな。

スリル【thrill】
おそれ。おののき。怖い物見たさ。戦慄。ぞくぞく。どきどき。わくくぁく。ぞっとする。

英和辞典は、どうやら『日本国語大辞典』のスタンスに近いかな。「〈人を〉(恐怖や興奮で)ぞくぞく[わくわく]させる」なんて記述があるものが多いみたい。

ならばと手近な英和辞典(LDOCE)なんかをみても「a sudden strong feeling of excitement and pleasure」なんて書いてあるよ。

こうしてみると、まあ『日本国語大辞典』が「わかってるふー」なのではなくて「通説」の立場に立っているということなのかな。他の国語辞典が、「わくわく」のニュアンスを示さないのがちょっと不思議だ。


Michael Jackson - Thriller (Shortened Version)