気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「てりあう」ってなんのこっちゃ?

 

『新明解』をみていると「てりあう」(照り合う)という言葉が出てきた。語釈を読んだけれど、よくわからない。

てりあう【照り合う】
(1)互いに照る。
(2)対応する。

ちょっと何いってんのかわかんない。

これでみなさん、「照り合う」の意味がわかりますか?

残念ながら、わかりやすさを旨とする『三省堂国語辞典』には「てりあう」の立項なし。 小学生用の国語辞典にも(見たところ)「てりあう」なんて言葉はないな。

参照する辞書をちょっと大きくしてみるか。『広辞苑』あたりでどうだ。

てりあう【照り合う】
(1)双方から照る。「雪に照り合う灯」
(2)互いに対応する。照応する。

なるほど。『新明解』のいう「互いに照る」ってのは「双方から照る」ということらしいよ。

ただ、これもちょっとむずかしいよなあ。まだ何を言ってるのか、正確なところがつかめない。

もうちょっと辞書を大きくして『日本国語大辞典』。

てりあう[‥あふ] 【照合】
(1)双方から互いに照る。反映し合う。
*読本・本朝酔菩提全伝〔1809〕一・一「彩色の絵障子・金地屏風、月の光に照(テリ)あひて耀きわたり」
*古道大意〔1813〕下「朝日のさし登るままに。其の花へきらきらと映りて、照相(テリア)ふやうな物ぢゃ」
*別れ霜〔1892〕〈樋口一葉〉八「雪に照り合ふ瓦斯燈の光り亮々として」
(2)互いに対応する。照応する。
*門〔1910〕〈夏目漱石〉二〇「色の変った畳の色が古い柱と映(テ)り合(ア)って、昔を物語る様に寂び果ててゐた」

なるほど。互いに自分の姿を相手に映すようなシーンをいうようだな。雪景色の中でガス灯がともり、その明かりが雪に映るとともに、雪がその姿をガス灯のガラスに映すような感じ。

もっと用例をみてみたいと、Googleろうと考えた。しかし日国の用例にあるうように「照り合う」の表記が一定していないみたい。ちょっとおもしろい例を探すことができなかった。

しかしなんだ。『新明解』の「互いに照る」はちょっと何言ってんのかわかんないよねえ?