『生物に学ぶイノベーション』という本を読んでいた。面白かった。その中で「卵黄」について記していた。
卵黄とは、私たちが食べる玉子の黄身の部分である。少なからぬ人々が、これが将来のヒナになる「胚」だと誤解しているが、胚はこの黄身の上の直径五ミリほどの白い部分である。
— maeda hiroaki (@torisan3500) June 1, 2019
via 『生物に学ぶイノベーション』(赤池学)
「いや、まあ卵黄が胚でないことは知っていたけどね」と強がりつつ、「そういえば」と「卵黄」を国語辞典で調べてみた。
まずは「どうせ難しいこと言ってんだろ」と思いつつ『日本国語大辞典』だ。
らんおう【卵黄】
動物卵の細胞質内に顆粒物質として存在する貯蔵栄養物質の総称。卵黄の化学成分は種によって異なるが脂質とたんぱく質が主体で、脂質は燐脂質、ステリンなど、たんぱく質は燐たんぱく質、リボたんぱく質などからできている。鳥類では球状を呈し、黄身(きみ)ともいう。
わはは。難しいぞ。でもさあ。「球状を呈し」ない卵黄の例とか、「黄身」じゃない卵黄の例とか教えてくれてもいいじゃんね。
「国民辞典」の『広辞苑』はどうだろう。
らんおう【卵黄】
動物の卵細胞に含まれ、胚の発育に際し養分となる顆粒状の貯蔵物質。動物の種により、量・色・形態などが異なる。ウニなどでは卵黄顆粒が全体に分散、鳥類などでは卵の黄身(きみ)として集合して存在。
どわ。難しくて読むのが嫌になるな。ただ「顆粒状」ってのは気になるね。鶏の卵も「顆粒」が「集合」してるかなあ。ぼくにはそう見えない。
それに「卵黄」ってんだから、全般的に「黄身」であるべきなんじゃないのか。鳥類の場合だけ「黄身」と呼ばれる風の説明はよくわかんないな。
ま、こういう難しい話が連発したら、わかりやすさを旨とする『三省堂国語辞典』はみておくべきだな。
らんおう【卵黄】
〔たまごの中で〕きいろの部分。脂肪・タンパク質などの栄養分が多い。黄身。
「鳥類では黄身」とかわかんないこと言わず、「卵の黄色いところが卵の黄(おう)で卵黄だよ!」という主張。ぼくにはこれが正しく思えるんだけどなあ。
しかし、『広辞苑』のいう「顆粒状」というのが正しい説明であるのならば、これはすべての辞書が記述すべきとも思える。「一見そう見えないけど、本当はそうで、そこに生物の秘密があるんだよ!」って感じだもんね。
しかしまあ。『日本大百科全書』などの記述を見ても、ぼくは『広辞苑』は書きすぎと思ってる。本当のところはどうなんだろうなあ。
『日本大百科全書』の記述もちょっと引いておこう。
多くの場合卵黄は、卵黄顆粒(かりゅう)として細胞質内に散在するか、卵黄球として蓄積されるかのいずれかである。
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