気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「バタリー」って知ってる?

『新明解』を眺めていると「バタリー」という語に出会った。ちなみに英語で、スペルは「battery」なんだそうだ。

なんだそれ。それは「バッテリー」じゃん?

でも「バタリー」なんだそうだ。

バタリー【battery = ひとそろいの器具】
アパート式に作って、ニワトリをたくさん入れて育てる鶏舎。

わからね〜。なんで「ひとそろいの器具」が「鶏舎」になるんだ? 書いた人はこれでわかったのか?

日本国語大辞典』をみてみる。こちらは「バタリー」はないが「バタリー飼育」の項目がある。

バタリー‐しいく 【─飼育】
(バタリーは {英} battery )
養鶏で、棚状にぎっしり積み重ねた鶏舎にニワトリを入れ、卵を産ませることだけを目的に飼うこと。また、その形式の飼育。

いや、やっぱわかんないよな。「わかんねえやつは英語を勉強しろよ」ってことか。でももうちょっと丁寧に説明してくれてもいいじゃんね。

広辞苑』もみてみたよ。これがあたりだった。こちらもあったのは「バタリー飼育」だ。

バタリーしいく【―飼育】
(batteryは「小室の集まったもの」の意)鶏の立体飼育の一方式。小部屋に仕切った多段式鶏舎(バタリー舎)で集約的に飼育する。EUでは2012年に廃止。

これは「なるほど!」だよね。batteryは「小室の集まったもの」なんだってさ。

なお、『広辞苑』第六版ではちょっと違う語釈になっているからそっちも引いておこうかな。

バタリーしいく【バタリー飼育】
(batteryは小室の集まったもの」の意)鶏の立体飼育法。鶏卵増産のため、鶏を小部屋に仕切った多段式鶏舎(バタリー舎)で集約的に大量に飼育する。

第七版でも「増産のため」という記述は残してもよかったのかなと思うけどね。あるいは「集約的」に効率性や生産性の意味があるから、ダブリと考えたのかもしれないね。

しかし『新明解』の「バタリー(battery)はひとそろいの器具」とか、『日本国語大辞典』の「バタリーはbattery」とかってんじゃ全くわからないよなあ。

なお、「battery」に「小室の集まった」という意味があるのかどうか、『ランダムハウス英和大辞典』にたずねてみた。

 12番目の語釈にあったよ。部分引用。

12 *1 〔畜産〕 一連の養鶏小屋,バタリー
a battery hen バタリー法で育てた鶏
battery eggs 養鶏卵.

もちろん『新英和大辞典』なんかにもある。こっちがわかりやすいかなあ?

9 *2〔畜産〕バタリー((ニワトリやウサギを飼養するための多段式の一連のケージ。

ふ〜ん。知らなかったなあ。

まとめ。

生産性を重視して飼育ケージを多段に組み合わせてひたすら卵を産ませるような飼育方法を「バタリー飼育」という。「バタリー」は「battery」で「バッテリー」のこと。バタリー飼育はEUでは禁じられている。

結構大事なことを覚えた本日だった。


2013撮影 日本の養鶏場

 

まんげつ濃厚卵6個入り5パック1セット (計30個) [その他]
 

 

*1:主に英

*2: