ほんとうは引いてないけどね。国語辞典で「年月日」を引こうと思うひとなんていないんじゃないのか?
しかし「年月日」は、多くの国語辞典に立項されているようだ。『三省堂国語辞典』をみてみる。
ねんがっぴ【年月日】
〔あることについての〕としとつきと日。
ふむ。
実は辞書を眺めていて「年月日」が目に入り、「え、そんなものが定義されているの?」と読んでみた次第。でも、なんか読んで損した気分だなあ。「年月日」についての「発見」とか、そういうのがまるでない。
他の辞書はどうか。『新明解』なんかはどう?
ねんがっぴ【年月日】
何かが行われる(行われた)年と月と日。
「何かが行われる」というのがちょっと哲学的ではあるか。果たして時間というものが生まれて以来、「何か」が「行われなかった」日というのはあるんだろうかなあ。
ま、問題はそんなことじゃないね。問題は「年月日」だ。『新明解』でもやっぱり大した発見はないなあ。
日本最大の国語辞典である『日本国語大辞典』に頼ってみよう。
ねん‐がっ‐ぴ[‥グヮッ‥] 【年月日】
ある事が行なわれる年と月と日。
やっぱり年月日は単なる年と月と日だな。
ここで、「もしかするとっ!」と思った。たいして意味を付加せずに「年月日」を載せてる国語辞典だ。「がっぴ」も載っているんじゃなかろうか。
最初にみていた『三省堂国語辞典』でみてみると、やはりあった。
がっぴ【月日】
1年のうちの何月何日かということ。
あははっ! やはりわからないぞ。いや、意味はわかるけど、なんでこれが国語辞典に載っているのかわからない。
『広辞苑』にも「年月日」も「月日」も載っているなあ。
わけがわからないからここでやめる。でもなんだ。国語辞典で「年月日」とか「月日」を引いた人ってのは1%くらいしか存在しないんじゃなかろうか。そんなことに、ちょっとだけ喜びを感じておこう。
ちなみに。落語ファンが「年月日」という言葉をきくと、枝雀の「代書」を思い出すのがきっと普通だと思う。