気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「たちながし」。

なんとなく想像するリズムは「おもてなし」に似てるな。でも「たちながし」は「立ち流し」と書く。

字面から想像できる通り「流し台」の一種だそうだ。

載せていない辞書も多いみたいだけど『新明解』に載っていた。

たちながし【立ち流し】
立ったままで使える、(足の付いた)流しの台。〔現在、最も普通の流し〕

なんと「立ったまま使える流し台」のことなんだそうだ。「え、ふつうのと何が違うの?」と思えば、ちゃんと「現在、最も普通の流し」と書いてある。

これ、ちょっと「一槽式洗濯機」に似ているかな。昔の洗濯機には脱水機がなく、それで当然に一槽式だった。それがいつからか脱水機がついて二槽式になった。そして今度は脱水が自動になり槽にまとめられて一槽式になったのだった。

テレビで「一槽式!」という誇らしげな宣伝を聞いて、「洗濯機は昔から一槽式だよ」なんて思ったものだったなあ。

それはともかく。

「立ち流し」じゃねえのはどんなだよ!と思ってしまうね。まずは『日本国語大辞典』で「立ち流し」をチェックしておく。用例も重要なのでまとめて引く。

たち‐ながし 【立流】
立った姿勢で使える台所の流し台。
*ものいわぬ農民〔1958〕〈大牟羅良〉生きている農村・二「腰がまがっているので立流しはおろか、調理台などはとても使えない」
*変痴気論〔1971〕〈山本夏彦〉室内装飾「台所が一変した。東京では震災以前は多く『すわり流し』だったが、以後は『立ち流し』になった」

ほうほう。「立ち流し」じゃないものは「座り流し」というみたいだぞ。

さすがにAmazonに「座り流し」はないみたいだけど、Googleればいろんな写真を確認することができる。用例によると、震災後に立ち流しが一般化したんだってさ。

で、まあ。これも「滑り台」風「流し台」↓


流しカワウソ

狭くても使いやすい台所

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