ぼくがプログラマだった頃、「フリーウェア」なんて言葉が「旬」だった。業界から遠く離れているので、いまでも「フリーウェア」(とか、あるいは「シェアウェア」)なんていう言葉があるのかどうか、よく知らない。
辞書をめくっていて、久しぶりに「フリーウェア」なんて言葉に出会ったんだけど、辞書の定義もなかなか面白いね。たとえば、『大辞泉』をみてみよう。
フリー‐ソフトウエア 【free software】
無料で自由な使用を許可しているが、知的財産権は放棄していないソフトウエア。インターネットなどを通じて提供される。フリーソフト。フリーウエア。
嗚呼。青春時代を思い出す(笑)。
「知的財産権は放棄していない」ってのは、当時の用語で言う「パブリックドメイン」との比較を意識して行った説明だな。
1980年代、「フリーソフトウェアなのかパブリックドメインなのか」なんていう論争は、日本全国のBBS^^で行われていた。
残念ながら『日本国語大辞典』に「フリーウェア」ないし「フリーソフトウェア」の項目はない。『ランダムハウス英和大辞典』が面白いのでそれをみてみようか。
free・ware
n. 〔コンピュータ〕 フリーウェア:開発者のサポートなしにユーザーが自由に使用できるソフトウェア.
これもね。今の人にはわからないだろうけれど、まるで「炎上」を狙ったかのような説明だなあ。
「フリーウェア」が「サポートなし」ってことにも異論がたくさんあるだろうし、商用ソフトウェアであってもas isで提供されるものだという言い回しがはやっていたなあ(不勉強で最近の風潮はよくわからない)。
ちなみに当時、フリーウェアに対比されていたのは「シェアウェア」だ。こんな言葉、今はもう死滅しているのかな。
現代では「in-app purchase」なんでしょ?
呼び名とかはどんどん変わっていくよねえ。それはそれで当然のこと。そんなふうには思う。
ただ、「フリーウェア」や「シェアウェア」が死語になるとするのなら、人類の遺産として扱われるべきルーディ・ラッカーの作人(『フリーウェア』など)なんかも捨て去られていくのかな。
それはあまりにもったいない話だね。
フリーソフトウェアと自由な社会 ―Richard M. Stallmanエッセイ集
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