『チャレンジ小学国語辞典』を見ていた。出会った単語は「密航」だ。
みっこう【密航】
国の規則を破り、船や飛行機にこっそり乗り込んで外国に行くこと。
えっ!? 密航って、外国に行かなくちゃいけないんだっけ?
「そうじゃなかろう」と思いつつ『小学新国語辞典』をみてみた。
みっこう【密航】
手続きなしに、こっそり船や飛行機にしのびこんで、外国に行くこと。
が〜ん。こちらも「外国」が必要条件だと言っているぞ。
これは子供用辞典だから、極端な例を引いているんだろうと思いいたり、『明鏡』を見てみた。
みっこう【密航】
(1)旅券を用意する、運賃を支払うなどの手続きをとらないで、ひそかに外国へ渡航すること。
(2)規則を破って航行すること。
あれ? 大人用辞書でも「外国」が必要条件になっているな。おっかしいなあ。外国に行かなくても「密航」だと思ってたんだけど。
みんな外国かぶれなんじゃねーかと、『三省堂国語辞典』を見てみた。
みっこう【密航】
(1)船の中にかくれて、航海すること。
(2)規則を破って航海すること。
わはは!
「外国」は必要条件でなくなったけれど、「航海する」ことが課されたり、あるいは飛行機は密航にならないと主張しているな。
「密航」ってそんなに「いろんな意味がある」言葉だったか?
しょうがないから国民辞書(『広辞苑』)をみてみたよ。
みっこう【密航】
法を犯してひそかに船や飛行機で外国へ行くこと。
残念。ぼくの負けだ。「密航」ってのに「外国」は必須らしいよ。
最後に。日本唯一の国語大辞典をみてみたよ。
みっこう[‥カウ] 【密航】
正式の手続をとらないで、船や飛行機でひそかに航行、または渡航すること。
ふっ! どうだ!
「渡航」は確かに「外国に行く」ことだけど、「航行」は、単に「進む」くらいの意味だぞ! ようやく「外国」を必要条件とせず、他の制約も少ない定義に出会えたぞ。
しかし。
なんでみんな、そんなに「外国」にこだわるんだ? 国内線でも「密航」できるよね、ふつうに考えれば。
ただし。それより妙なのは『三省堂国語辞典』の「船しか認めない」かな。面白い異端だ。
ロンドン警視庁などによると、ヒースロー空港に近いリッチモンドのビル