気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

数学力の高い国語辞典は?

ふと、国語辞典で「同類項」を引いてみた。

『日本国語辞典』が詳しそうに思ったんだけど、大したことなかったな。

どうるい‐こう[‥カウ] 【同類項】
(1)数式で係数以外の文字因数が全く同じであるような項。
(2)転じて、同じような性質、状態をもっていること。同類であること。主に、あまり好ましくない共通点のあることをいう。

ぼくが知りたかったのは(1)の方の語釈だけど、まあ、いたってふつうだ。

だけど、けっこう気合の入っている国語辞典もあるよ。

たとえば『広辞苑』。

どうるいこう【同類項】
代数式で、係数は異なってよいが、他の因数がそれぞれ等しい指数をもつ文字から成る2つ以上の項。7a3+a2b+ab2-b3-3ab2におけるab2と-3ab2の類。

例にあげる式が結構気合入ってるじゃんね。中には「指数」部分が異なってもよいのかどうか悩む人もいるかもしれず、「等しい指数」ってのは正しい指摘かもしれない。

『新明解』もなかなかがんばっている。

どうるいこう【同類項】
(1)〔代数学で〕多項式において、変数として着目した(幾つかの)文字の部分が指数まで含めて同一で、その係数だけが異なる2つ以上の項。例、2x3y2と-3x3y2
(2)(外見は異なっていても)共通の特徴や傾向を備えている点で、同類として扱うことができるもの。

変数として着目」の意味がわかりにくい感じがするけれど、指数に言及しているのはいいね。

とりあえずちらと見てみたところではこの2冊が頑張ってたかな。

ちなみに『三省堂国語辞典』は次のような感じ。

どうるいこう【同類項】
(1)〔数〕係数だけがことなる、2つ以上の項。例、3aと-2aなど。
(2)〔俗〕同じなかま。

語釈で指数に言及せず、また例にも指数のない項を載せているのが、ちょっと不親切に感じてしまうかな。

ま。ちっちゃな活字の国語辞典の語釈に、指数なんかがあるとかなり読む気力が失せてはしまうけどね(^^)。


【わくわく算数「算木?」】広島文教女子大学 初等教育学科