新聞(ぼくは比較的、日経新聞が好き。日経産業新聞はもっと好きだけど、それだけ読んですますわけにもいかないし…)を読んでいると、頻繁に「センサス」という語に出会う。
センサスってなんだ? 『新明解』をみてみた。
センサス【census】
国勢調査。
むちゃシンプルでいいんだけどね。でも「センサス」って、「国勢調査」なんかよりも、よっぽど頻繁に使われているような気がするな。「センサス」=「国勢調査」にはダウトだな。
『三省堂国語辞典』は、一応言い訳がましい(笑)語釈にしているよ。
センサス【census】
(1)国勢調査。
(2)実態調査。
なるほど、(2)の意味が加わることで、頻繁に用いられる「センサス」なる言葉に近づいた感じはするね。
わりと似たニュアンスで詳述するのが『日本国語大辞典』だ。
センサス
({英}census )
(1)人口調査。国勢調査。
(2)特定の社会事象につき、特定時点に一斉に行なう全数調査。「工業センサス」など。
要するに。「全数調査」を「センサス」というのかな?
『広辞苑』をみてみる。
センサス【census】
(1)人口調査。人口国勢調査。
(2)国勢の種々の側面に対して国が行う統計調査。
むむ。せっかく『日本国語大辞典』が間口を広げたのに、『広辞苑』は意味を限定しようとしているな。「国勢調査」の意味以外で使うときには「国が行う」ことが必要であるように見える。
こういうのは、英和辞典をみたらよくわかるんだろうと『ランダムハウス英和大辞典』をみてみた(ぼくはこの辞書がかなり好きだ。ちなみにリーダーズは嫌い、というか、存在の意味がわからない)。
ただし、「ランダムハウス英和大辞典』をみても「census」は難しいなあ。
cen・sus
n. (pl. cen・sus・es)
1 人口調査,国勢調査
take a census
国勢調査をする
2 (古代ローマで課税のための)市民およびその財産の登録.
3 〔生態〕 個体数調査.
4 勘定,計算.
5 *1 =poll tax.
━━ v.t. …の国勢[市勢]調査を行う;…を調査して数える[1613.<ラテン語「市民の名簿作成と財産評価」,cēnsēre「評価する,市民名簿に(市民を)登記する」より
わかったようなわからないような感じだけどね。「センサス」と「センサスでないもの」の区別がよくわからないんだよな。
こういうときはね。シンプルな辞書を見るのが良いことが多いね。OALDをみてみようか。
cen・sus
(plural cen・suses)
the process of officially counting something, especially a country’s population, and recording various facts
recording various factsには笑うしかないけどね。でも「the process of officially counting something」ってのは良い定義なんじゃないのかな。「国がやるべき」とする『広辞苑』にも「そういうわけじゃないよ」と主張しているし、日国の曖昧さは回避の方向に動いているしね。
ぼくは。とりあえずこのOALDの定義にて「センサス」を理解したつもりになっておくよ。
話は変わるけど、OALDは本当に良い辞書だと思う。ぼくは、内容を覚えていなくて恥ずかしいんだけど、一応OALDは通読した。電車の移動時にずっとOALDを読んでいたんだ。内容は面白いし、車内ですれ違う人は多く「え、こいつ電車で辞書読んでる!」みたいに二度見してくれるし。わりと面白い体験だったよ。
一般的に。社会人になって辞書を通読するような時間はとりにくいんだろうと思う。学生の人は、国語辞典でも英和辞典でも英英辞典でもいいから、何か1冊通読すると良い体験になると思うな。
ちなみに、国語辞典なら『三省堂国語辞典』なんかがボリューム的ににも内容的にもおすすめだと思うよ。
あえて古い版を読むのも結構おすすめ。「え、あの意味が書いてないじゃん!」とか、「1900年代とはそんな時代だったのか!」とか、いろいろ突っ込めると思うしね(^^)。
*1:古