気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

なくなるかもしれない「夏休み」

夏休み」は嬉しいね。とくに、夏休みの間に転校すると、夏休みの宿題がチャラになるのがとてもステキ。

ところが「ぼーっと生きてたら夏休みなくすぞ!」と脅してくる国語辞典がある。それは、『日本国語大辞典』だ。

なつ‐やすみ 【夏休】
暑さを避けるためや、帰省・健康管理などの目的で学校や職場などに設けられた夏季の休暇。暑中休暇。《季・夏》

夏休みとは、「暑さを避ける」とか「帰省(!)する」などの目的をもって過ごすべきものだと主張するのだ。

暑さを避けずに「あの娘の水着を目に焼き付けるぜ」とかなんとか、そういう振る舞いは「夏休み」にふさわしくないと主張している。
夏のスペシャルイベントがあるからディズニーだね、とか言っていては、そのうちに「夏休み」が葬り去られてしまうかもしれないわけだ。
ま、もっとも。そこまで夏休みに厳しいのは、見たところ『日本国語大辞典』だけだ。他の辞書はもうちょっと慣用だな。
たとえば『広辞苑』。
なつやすみ【夏休み】
学校・会社などで、夏季に、その業を休むこと。暑中休暇。夏季休暇。
つまり、ぼーっとしてようがひと夏の体験をしていようが、夏に休めば夏休みだろうというわけだ。幸いなことに(?)、どうやら、この『広辞苑』的立場が通説ではあるらしい。
三省堂国語辞典』などは、休みをとる側を応援してくれる語釈だ。
なつやすみ【夏休み】
夏の間の長い休暇。暑中休暇。
つまり。「3日くらいなら夏休みをとってもいいよ」とか言われても、ぼくたちは「そんなもん夏休みじゃねえよ、ぼけ」と反論することが許されているのだ。いい辞書だね>『三省堂国語辞典』。
ま。きっと資本家の奴らは『日本国語大辞典』的夏休み論を主張するのだろう。ぼくらは最低限の文化的生活を送るために、『三省堂国語辞典』的夏休みを主張してかちとらなければならないよ。
 
 

P.S. ぼくは小学4年の夏休み、大分から大阪の西南小学校に転校した。

わーい、宿題がちゃらになったぞ」と喜んでいたのもつかの間、転校したその日に校長に殴られる(ぼくが制帽をかぶっていなかったから)という坊っちゃん」時代みたいな体験をした。転校初日に、制帽の存在なんか知らないっつーの。

ま、西南小学校が特殊だったのではなく、大阪でもうひとつ体験した萱野小学校も、箕面二中っていう中学校も体質的には同じだった。


夏休み 吉田拓郎