『日本語便利辞典』を眺めていて、「おおおそどり」という言葉に出会った。なんじゃこれ。この言葉も相当変な感じだけど、漢字で書くと「大軽率鳥」と書くのだそうだ。ますますへんてこりんだ。
調べてみると、中型以上の辞書には載っているみたいだ。『大辞泉』が一番おもしろかったかな。
おお‐おそどり 〔おほをそどり〕 【大軽=率鳥】
《「おそ」はかるはずみの意》非常にそそっかしい鳥。
いや、字を見ればそうかなと思うけどね。でも鳥について「そそっかしい」とか言っていいのか? 動物の擬人化は学術的に禁じられているんじゃなかったか。
それに、何をすればそそっかしくて、また、そそっかしい鳥が何をするのか(何を意味するのか)が全くわからない。
「おおおそどり」を辞書で引く人はほとんどいないんじゃないかと思うんだけどさ。でもこの『大辞泉』の語釈をみて「なるほど」と思う人は皆無だろうな(笑)。
『日本国語大辞典』はこんな感じ。
おおおそ‐どり[おほをそ‥] 【─鳥】
(「おそ」は未詳)烏をののしっていう語。たいそうあわてものの鳥。また、一説に、おおうそつきの鳥。たいへん不誠実な鳥。
最初、「鳥をののしっていう語」と読んでしまい、「鳥を罵ってどうするんだよ」、「いつ罵るんだよ」なんて思ってしまった。よくみれば「鳥」じゃなくて「烏」だな。
『日本語便利辞典』にも「カラス」のことだと書いてあったよ。でもなんで「カラス」が「大軽率」なんだ?
『日本国語大辞典』の用例には次の例が挙がっている。
*万葉集〔8C後〕一四・三五二一「烏とふ於保乎曾杼里(オホヲソドリ)の真実(まさで)にも来まさぬ君を児ろ来(く)とそ鳴く〈東歌〉」
そして語源説として次のように記してある。
啼声のコロクをク(来)と聞き、その人が来なければ嘘なりと戯れていう意か〔大言海〕。大虚言鳥の義〔和訓栞〕。
わかんないなあ。
どうやら『日本国語大辞典』は「丁寧」に説明してくれようとしているみたいだ。でも無教養なぼくには全くわからない。ってことはあれか。『大辞泉』のよくわからない説明でも、ぼくにとっては同じ意味(価値)ということだな。
『大辞泉』の語釈を非難する前に、自分の教養を磨けってことだ(^^)。
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