気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「病室」とは?

心臓の病気で2度入院したことがある。一度目は、なかなかICUから出られなかった。

それはともかく。「病室」を『岩波国語辞典』でみて、ちょっと違和感を感じた。

びょうしつ【病室】
病人のいる部屋。

「あれ?」と思って『日本国語大辞典』をみてみた。しかし一緒だな。

びょう‐しつ[ビャウ‥] 【病室】
病人の寝ている室。病院で患者のいる部屋。

「病室」ってのは、現に病人がいる部屋を指すというのが、岩国、日国の立場だ。ぼくはちょっと違うように思うんだよな。

たとえ部屋がエンプティであっても、病人を寝かすことを目的とした部屋であれば、それがつまり「病室」だと思うんだ。

それは異端の考えなんだろうか? まあ、「異端」かなと思う立場から辞書を見るなら、とりあえず『新明解国語辞典』をみてみるがよかろう。

びょうしつ【病室】
病人が寝る(を寝かせる)ための部屋。

ほらね。どんぴしゃりだ。病人が寝ていなくても、それが病院を寝かせるためにあるのであれば「病室」なのだ。

日国や岩国の解釈によれば「誰もいない病室」なんて表現はありえないことになる。ぼくは新明解(ちなみに三国も同様の立場だ)の立場が適切だと思うな。

あるいは「病院」というものがなかった時代なら、「病室」とはすなわち病人がいる部屋だったのかもしれないけどね。


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