気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「をかしき稚児」

古語の話が続いて申し訳ない。もうすぐ放送大学生になるので、ちょっとうかれていろんな辞書(国語、古語、独和、仏和などなど)を読み漁っているのだ。

今回、気になった語は「をかしき児」。

出典をそのまま記せば、

をかしげなるちごの、あからさまに抱きて遊ばしうつくしむほどにかいつきて寝たる、いとらうたし。

なんか、二次関数の変域問題みたいに「ほら、まちがえろよ」風な文だなあと思ったり。

まず「おかしげなるちご」がなかなか不思議だよね。「変な稚児」と訳す人もいそうだし、あるいは「容態のあぶない稚児」と思う人もいるかもしれない。続く「あからさま」を「あえて」とか解釈してしまうと、「容態のおかしい稚児を、やさしく抱くようなふりをして」とかいう解釈が出てきそう(笑)。

をかしげ」は「をかし」から想像すれば、「変な」という意味でないことはわかりやすいかな。

ただ、文脈的に困るのは「あからさま」だ。現代語風に解釈すると「あからさまに抱きて」は「かわいがるふりをして」なんて感じに解釈されそう。

ただ、古語における「あからさま」はちょっと違うんだな。全文全訳古語辞典を見る。

古語では、突然である、ほんのしばらく、ちょっと、などの意。現代語の「はっきりと、露骨に」などの意は近世以降のもの。

こんな記述がある。つまり「あからさまに抱く」は「ちょっと抱く」ってな意味になるわけだ。この「あからさま」は、古典を勉強した人じゃないと、ちょっとわかりにくいよねえ。

「あからさま」の意味変遷がちょっと面白い。これを「意味変遷があからさまに面白し」とか言って良いのかどうかはよくわかんない(^^)。


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