古語の話が続いて申し訳ない。もうすぐ放送大学生になるので、ちょっとうかれていろんな辞書(国語、古語、独和、仏和などなど)を読み漁っているのだ。
今回、気になった語は「をかしき児」。
「おかしい児」とはちょっと違う「をかしき児」。意味は「愛らしい幼児」。
— maeda, h (@torisan3500) 2022年9月16日
> をかしき児の、あからさまに抱きて遊ばしうつくしむほどに…
via 『高校生のための古文キーワード100』(鈴木日出男)https://t.co/JErKezhAZH
出典をそのまま記せば、
をかしげなるちごの、あからさまに抱きて遊ばしうつくしむほどにかいつきて寝たる、いとらうたし。
なんか、二次関数の変域問題みたいに「ほら、まちがえろよ」風な文だなあと思ったり。
まず「おかしげなるちご」がなかなか不思議だよね。「変な稚児」と訳す人もいそうだし、あるいは「容態のあぶない稚児」と思う人もいるかもしれない。続く「あからさま」を「あえて」とか解釈してしまうと、「容態のおかしい稚児を、やさしく抱くようなふりをして」とかいう解釈が出てきそう(笑)。
「をかしげ」は「をかし」から想像すれば、「変な」という意味でないことはわかりやすいかな。
ただ、文脈的に困るのは「あからさま」だ。現代語風に解釈すると「あからさまに抱きて」は「かわいがるふりをして」なんて感じに解釈されそう。
ただ、古語における「あからさま」はちょっと違うんだな。全文全訳古語辞典を見る。
古語では、突然である、ほんのしばらく、ちょっと、などの意。現代語の「はっきりと、露骨に」などの意は近世以降のもの。
こんな記述がある。つまり「あからさまに抱く」は「ちょっと抱く」ってな意味になるわけだ。この「あからさま」は、古典を勉強した人じゃないと、ちょっとわかりにくいよねえ。
「あからさま」の意味変遷がちょっと面白い。これを「意味変遷があからさまに面白し」とか言って良いのかどうかはよくわかんない(^^)。