すてきな表情のトドに出会った。6月2日の上野動物園だ。
『世界大百科事典』改訂新版には少々かわいそうな表記もある。
アシカ科の仲間では最大。漁業に与える被害が大きいので漁業者からきらわれる存在。
トドのせいというわけばかりでもないのになあ。
しかし実は『日本大百科全書』にはもっと可哀想なことが書いてある。
漁業の害獣として羅臼(らうす)、利尻(りしり)、礼文(れぶん)などで駆除されている。肉はミンクやキツネの餌(えさ)にされるが、毛皮には下毛(綿毛)がなくきわめて厚いので利用されていない。
ときにアザラシの子も喰うという、無敵めいたトドだけれど、かなり可哀想な扱いをされる獣であるらしい。
暗い気持ち(?)になる中、『日本国語大辞典』にちょっと笑っちゃう記述を見つけた。補注の部分だ。
古くはアシカとトドを区別せず、「物品識名」に「トド 海獺の年を経たるものを云」とあるように、アシカが成長してトドになったと考えられていた。
なはは。オタマジャクシがナマズの孫であるとする伝だな。ちょっと元気になった。
- 作者: 吉村昭
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/03/01
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る