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気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

ICBM(intercontinental ballistic missile)の誤差はどのくらい?

いよいよオリンピック開幕。個人的には「オリンピック」というと「冷戦」を思い出す。

ボイコット騒ぎもあるけれど、それ以前に「東側陣営」と「西側陣営」ごとにメダル数を競っていたりしたから。「ステートアマ」なんて懐かしい言葉もあったな。

完全復刻アサヒグラフ 東京オリンピック

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そんな流れで(?)気になったのはICBM

日本語でいえば大陸間弾道弾のこと。 『日本国語大辞典』では「大陸間弾道弾」と日本語にするだけだが、なんと小型辞書の『三省堂国語辞典』が詳しく載せている。

アイシービーエム [ICBM
(名)〔intercontinental ballistic missile〕
〘軍〙地上から発車する、射程が5500キロメートル以上のミサイル。大陸間弾道弾。大陸間弾道ミサイル

意識したことがなかったけれど、射程に決まりがあるのだ()。ミサイルの性質による命名というよりは、政治的な理由で名付けられたものだろう。と、Wikipediaを見ると次のようにあった。

アメリカ合衆国ソビエト連邦間では、戦略兵器制限条約(SALT)により、有効射程が「アメリカ合衆国本土の北東国境と、ソ連本土の北西国境を結ぶ最短距離」である5,500km以上の弾道ミサイルと定義された。

ちなみに同ページによると、現在ICBMを配備しているのはアメリカ、ロシア、中国なのだそうだ。もしかすると中国のICBM定義は異なるのかもしれない。

核軍縮と国際法

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 ところで5,500km。精度はどのくらいなんだろう。普通に考えれば100km程度なんだろうか。もしかすると500km程度までは誤差の範囲かもしれない。

そんなことを思いつつ『新明解』第七版を見る。

アイシービーエム【ICBM】〔←Intercontinental bassitic missile〕
大陸間弾道弾。射程が約1万キロの、超長距離用戦略ミサイル。

むむ。こちらは1万キロと言っている。裏付けはよくわからない。「大陸間だからこんな感じ?」なんてことで付けられたような数字だが、もちろんそんなことはないんだろう。

大辞泉』第二版を見る。

アイシービーエム 〘ICBM〙《intercontinental ballistic missile》
大陸間弾道ミサイル。射程が6400キロ以上の核ミサイル兵器の総称。

う~ん。単純なミスかと思えば、広島平和記念資料館のサイトに次のような記述もある。

大陸間弾道ミサイル(Inter Continental Ballistic Missile,ICBM)は、6,400キロメートル以上の射程をもつ弾道ミサイルである。通常は1万キロメートル前後の射程をもち、水爆弾頭を装備した地上発射のミサイルである。

なるほど。「1万メートル」というのは「そのくらいは飛ぶ」ということなのかもしれない。しかし5500キロと6400キロというのは、きっと「定義」の問題なのだろうと思う。 

もしかすると歴史的な時期によって、定義された距離が違うのかもしれないな。もともと詳しくない分野なので、追いかけるのはこの辺で。調べた範囲では、ICBM誤差5000キロメートル程度までは許されるということだ(それは違う^^)。 

鉄砲を捨てた日本人―日本史に学ぶ軍縮 (中公文庫)

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(注)『岩波国語辞典』第七版・新版は「他の大陸にまで届くミサイル」と定義している。まあ文字通りだけれど、北米東岸から欧州と、ユーラシア北端から南極大陸までの幅があることになる。

核拡散―軍縮の風は起こせるか (岩波新書 新赤版 (861))

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