気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「杓子」ってのは簡単にいえば「しゃもじ」や「お玉」の原型のこと? ところで「杓子定規」は…

本当は「オタマジャクシ」のことを調べようと思ったのだ。そこから「杓子」としての「オタマジャクシ」に目が移った。

お玉杓子 大

お玉杓子 大

 

上の「オタマジャクシ」にも若干違和感があるけれど、そもそもの「杓子」ってのはなんだったかな。

「杓子」というものにちょっと悩むのは別に恥ずかしいことじゃない。『三省堂国語辞典』では「おたま」への空項目になっていたりするし。

で、「杓子」を辞書で引くとなかなか難しいことが書いてある。『広辞苑』がなかなか悩ませてくれるかな。

しゃくし【杓子】
(1)飯または汁などの食物をすくいとる具。頭は小皿のようでこれに柄をつけたもの。古くから木製と貝製があり、飯をすくうものを飯匙(いいがい)と称した。現在はステンレスなどの金属製が多い。しゃもじ。
((2)以下略)

「頭が小皿のよう」という表現も難しいし、また「現在はステンレスなどの金属製が多い。しゃもじ。」の後段も不親切だ。「しゃもじ」に金属製のものなどないし(ないと思う)、時代や対象がふらふらして説明についていきにくい感じ。

「杓子」をシンプルに定義しているのは『新明解』。引いてみよう。

しゃくし【杓子】
ご飯をよそったりみそしる・すましなどをすくったりする、柄のついた道具。〔現在では前者を「しゃもじ」、後者を「お玉杓子」と言う〕

これはわかりやすい。詳しくはよくわからないけれど、おそらくは杓子というご飯・汁物共通に利用するものが、しゃもじやお玉に分化していったのだろう。

OTOTO nessie ladle ネッシー お玉杓子

OTOTO nessie ladle ネッシー お玉杓子

 

ところで「お玉杓子」の語、「蛙の子」に用いるのは比較的新しい話だったそうな。『日本国語大辞典』の語誌を引く。

(お玉杓子で「蛙の子」を意味する用法は)江戸時代に江戸を中心に生じたもの。古くは「かへるこ(蛙子)」。調理道具との形態上の類似による連想によって命名されたと考えられ、その分布は、北海道、関東、中国、四国に集中し、東北、九州ではまばらである。

九州でも普通に「お玉杓子」と呼んでいたようには思うけれど、それは「昔」の話だということなのかもしれない。

さて、ところで。「杓子」が「しゃもじ」や「お玉」の原型であるらしいのはよくわかった。でも、その「杓子」から「杓子定規」の言葉の意味を考えるのは難しいなあ。辞書を見てみるとさらに難しい記述に出会ったりもした。

ただしそれはまた別のエントリーで。