人の「臨終」を笑うな。
昨日「往生」を引いたので、今日は「臨終」を引きたくなった。
まあ「臨終」は怖い言葉じゃないけれど、「終わった」ときに「臨終」と言われることには少々違和感を感じたりする。
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ただ、「臨終」と書いても、「死に臨む」という意味だけではないのだと、いろいろな辞書に書いてある。例えば『明鏡』。
人が死にのぞむこと。また、死ぬこと。
そのこと自体も「臨終」というのだ。なぜかはわからないけれど、死にましたという完了形を忌んだのかな。
それはともかく。『日本国語大辞典』にある「臨終顔」(りんじゅうがお)という言葉は怖い。もちろん意味はシンプルだ。
臨終の時の顔つき。死に顔。
人生が終わることは受け入れているんだけど、苦痛や後悔など瞬時に受け入れて、安らかな顔をする自信はないな。もしかすると汚物の中をのたうちまわって死ぬかもしれないわけで。
いろいろと「壮絶」というか、「断末魔」な状態を想像させるこの「臨終顔」の言葉が怖い。
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いやはや、まいったまいった。と、そう思っていると、もうひとつ怖い言葉があった。「臨終汚」(りんじゅうぎたない)。
漢字はさほど怖くないのだ。まあ、いろいろあるよね、と受け入れられる。ただ、ひらがなの「様子」がちょっと怖いんだなあ。こちらも意味はシンプル。
死にぎわが見苦しい。往生ぎわが悪い。りんじゅぎたない。
どの程度から見苦しいのだろうなあと想像してしまう。
あるいは身内に見送られるとすれば、身内も積極的に「往生ぎわが悪い」というふうには思いにくいだろう。でももしかするとぼくの様子を見て頭にこの言葉を浮かべ、そしてその後にひどく後悔したりするのだろうか。
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ところで心臓の病気で死ぬのかなと思っていた頃、ぼくはずっと『航路』のことを考えてた。
とりあえず、嫌悪される死に方や、すごく笑われる死に方は遠慮したくはある。だけどそういうことも考える余裕がない場合もあり得るんだろう。
そんなことを考えてしまうのは、今日あげた言葉のせいだ。恐ろしいやつらだ。
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