気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「生食」の対義語は「火食」。そんなことも知らず、その読み方もわからなかった。

「生食」は「せいしょく」と読むのだそうだ。

「なましょく」ではないと言われても、では「しょうしょく」かななどと考え、自力で「せいしょく」という正解にたどり着くことはなさそうだ。

実はこの「生食」を辞書で引いてみようと思ったのは「トマト」がきっかけだ。

※ トマトの数え方に「1個、2個」は不適切なのだろうか

 「生で食べるほか」とくれば、普通は「焼いて食べることもある」なんて言葉が繋がるんじゃないのか。しかし多くの辞書で、上の『新明解』と同じような説明になっている。

たとえば『広辞苑』。全文を引いておく。

トマト【tomato】
(tomate スペイン)ナス科の一年生果菜。原産地は南アメリカアンデス高地。18世紀頃に渡来。栽培は明治初期の導入から広がる。世界各地に栽培される野菜。ファースト‐トマト・チェリー‐トマトなど品種が多い。果実は扁球形、赤熟または黄熟、栄養に富み、生食、または、ジュース・ソース・ケチャップなどに製する。蕃茄。古名、あかなす・さんごじゅなす。

こちらでも「生食」に対応する部分は「ジュース、ソース、ケチャップ」などに加工することだとなっている。

そうした説明を見て、それならば「生食」の対義語は「加工する」だとか「材料として用いる」という意味なのかと思ったのだ。

最初に掲載した『新明解』からの写真にもあるように、「生食」の反対語は「火食」(かしょく)だ。これも『新明解』で確認してみた。

見ておわかりのように「調理する」というような意味はない。『広辞苑』もあっさりと定義する。

か‐しょく【火食】

物を煮たきして食べること。

すなわち「生食」⇔「火食」(ここで矢印は対義語関係を示すものとする)という関係の中でとらえれば、辞書にある「生食のほか、ジュースなどにもする」という定義に違和感を感じるのは正しいことであるように思える。

但し、きっと料理用語あるいは常識として、「生食」⇔「加工食」というような言葉関係もあるのだろう。悲しいことに料理知識や、そして常識にも欠けるところがあるので、その辺りは想像しかできない。 

「生食」の読み方、「生食」の対義語としての「火食」という言葉の存在、それからトマトの数え方。やけに勉強した気分で、まあ満足だ。