16万円もする靴べらの存在を知り驚愕したのは昨日。そのくらいの価格になると別の呼び方をするものなのだろうかと考えた。
輪島塗靴べら「16万円」。目で見てこいつの価格を当てられるような目利きには一生なれないと思う。 pic.twitter.com/qSKsgUs5ew
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 1月 11
自分で考えてもよくわからないので、すぐに辞書に頼った。
『新明解』第七版や『岩波国語辞典』第七版・新版等の小型辞典には「くつすべり」とある。但し『新明解』の方は「くつすべり」を立項してはいない(『岩波国語辞典』の方は「靴べら」への空項目として立項)。
『岩波国語辞典』の「くつべら」を引いてみよう。
くつべら【靴×箆】
靴をはく時かかとにあてて、足を入れやすくする、へら。くつすべり。
(関係ないけれど、辞書の読点の打ち方はしばしば愉快に感じる)
他に言い方はないのかと『日本国語大辞典』を見ると、そちらにもやはり言い換えの語があった。
くつ‐べら 【靴篦】
〔名〕
くつをはくときに、くつのかかとの部分にあてて足を入れやすくするために用いるへら。くつはめ。
枝雀の「代書屋」という落語には、「下駄の減りを止めるために歯の裏側にはめる金属やゴム片のこと」を「ヘリドメ」というのだという話が出てくるが、まさにそんな具合。
尚、さすがに『日本国語大辞典』で、きちんと「くつはめ」は立項している。「くつすべり」の項目はない。
結局のところ、個人的に馴染のある語の中には「くつべら」を言い換える語は見つからないようだった。
ところで英語で言う「靴べら」には「押し込む」という意味もある。「うまいこと言いまんな」と突っ込みたくなる語義だ。
shoehorn。名詞では「靴べら」。動詞になると「おしこむ」。素敵だ。 #辞書 #英語 pic.twitter.com/FUIlrbmIBq
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 1月 12
ところで「shoe」つながり。「shoebill」といえば「ハシビロコウ」のことだ。
『ランダムハウス英和大辞典』でみつけたハシビロコウ shoebill(靴嘴) pic.twitter.com/OUFl4hAfLh
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2013, 12月 1