NHKのニュースで、雪が激しく舞うシーンを映しながら「吹雪いているのでしょうか」という発言をしていた。「吹雪く」にも「台風」のような数値的基準があるんだろうか。
大言海にみる「ふぶく」。語釈は「吹きに吹く」! 素敵だ。 #辞書 #国語辞典 pic.twitter.com/YMAVoYjHzF
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 2月 5
ふむ。手持ちの辞書ではいずれも「激しく吹く」といった感じで、数値的な基準はないようだ。
「吹雪いているんでしょうか」は、画面は煙って見えるけれど、激しく雪が舞い上がっているんでしょうかね、というような意味だったんだろう。
名詞の「ふぶき」も面白かったので引いておく。『日本国語大辞典』より(用例略)。
ふぶき 【吹雪・雪吹】
〔名〕
(動詞「ふぶく(吹雪)」の連用形の名詞化)
(1)強い風が物を吹き飛ばすこと。特に、強い風に吹かれて雪が降ること。また、その雪。《季・冬》
(2)(雪吹)薄茶器の一種。蓋甲と身の底が面取りしてある茶入のこと。黒漆塗が多い。身と蓋の境目がわからないので、上も足もとも定めがたい吹雪のようだというところから、文字も特に雪吹と書くことが多い。
(3)文様の名。雪がふぶいている様子を描いたもの。
語釈は当たり前。ただ「吹雪」とならんで「雪吹」があるのがちょっと面白い(ちなみに『大言海』では「乱吹」だ)。
用字について説明があった。
用字について、古本節用集では「雪吹」が一般的で、ほかに「雪風」がある。また、「温故知新書」には「雪風」が、「撮壌集」「運歩色葉集」には「降吹」が出ている。現行の「吹雪」が見られるのは近世の「書言字考節用集‐一」である。
なるほど、「吹雪」という用字は新しいんだな。まあ新しいとは言っても『書言字考節用集』 は1717年の刊行であるらしい。ちょっと生まれてないな。
「吹雪」とか「雪吹」と言われれば、別に語源は気にならない。しかし『日本国語大辞典』には「語源節」がまとめられていた。
【語源説】
(1)フリフキ(降吠)の義〔滑稽雑談所引御傘・類聚名物考・雅言考・国語本義・大言海〕。
(2)フキフリユキ(吹降雪)の義〔日本語原学=林甕臣〕。
(3)フユフキの義〔名語記〕。
(4)フフと吹く意から〔俚言集覧〕。
(5)フキフク(吹吹)の意〔松屋棟梁集〕。
普通に漢字通りの意味で解した方がわかりやすいと思うんだけどな。「フフと吹く」って何だろうなあ。