新明解をめくっていると、「尾錠」なる語に出会った。
びじょう【尾錠】
ベルト・靴などに取り付け、左右から締めよせて止める金具。しめがね。びじょがね。
ここまで読んで「尾錠」が何かわかるだろうか。
「締めよせる」という動作がよくわからないし、それを「左右」から行うというのもよくわからない。
実は、語釈には続きがあって、「バックル」と書いてある。そう、「尾錠」とは「バックル」のことなのだ。
AmazonやYouTubeで「尾錠」を検索すると、たくさんのプロダクト/動画にヒットする。ってことは、つまりぼくがものを知らないだけなんだろう。
だけどぼくは「尾錠」という言葉を、これまで使ったことがないなあ。たぶん聞いたこともないと思う。
さらに語釈をみて「ああ、なるほど、バックルのことね」と納得もできない。
新明解が悪いのかというと、どうやらそうでもなさそう。たとえば大辞泉を見てみる。
び‐じょう〔‐ヂヤウ〕【尾錠】
帯革・ひもなどの先に取り付けて左右から寄せて締める金具。男子のチョッキやズボンの後ろなどに用いる。バックル。尾錠金(がね)。
やはり「左右から寄せて締める」という説明がある。この説明がよくわからないんだなあ。
日本国語大辞典も同じだ。
び‐じょう[‥ヂャウ] 【尾錠】
(「錠」は「鎖(ジャウ)」の当て字)
帯、紐などのはしにつけて、左右からよせて締める金具。びじょうがね。
辞書編纂の人たちは、この「左右から寄せて締める」という説明がわかりやすいと感じるのだろうなあ。ぼくにはまるでわからない。広辞苑にも「左右から」うんぬんとある。
自分がものを知らないことはおいといて。もうちょっとわかりやすい語釈はないものかと思いながら岩波国語辞典もみてみた。
びじょう【尾錠】
帯かわなどの一端につけ、他端をはめ入れて締める金具。しめがね。バックル。
おおっ! これはわかりやすいぞ。これなら「なるほど、バックルのことか」と納得がいく。
「左右から寄せて締める」のわかりやすい説明は募集中です(^^)。