落語に「長押」(なげし)という言葉がよく出てくる。「だくだく」とか「野ざらし」など。
# 「野ざらし」については以前記事を書きました
「長押にかけた槍」というんだから、「長押」ってのは「アレ」のことだろうと思いつつ辞書を引いてみる。
まずは『明鏡』。
日本建築で、柱と柱との間に水平に取り付ける装飾的な横木。
やっぱ「アレ」のことじゃんと思いながら、でも簡単すぎてはっきり理解できた感じがしない(『岩波国語辞典』第七版・新版もやはり非常にシンプルだ)。『大辞泉』第二版を見てみよう。
日本建築で、柱から柱へと水平に打ち付けた材。もとは柱を連結する構造材であったが、貫(ぬき)が用いられるようになってから装飾化した。取り付ける位置によって、地長押・腰長押・内法(うちのり)長押・蟻壁(ありかべ)長押・天井長押などがある。
「構造材」ってのは、おそらく「装飾」物との対立概念なんだな。そこはよかろう。しかし「貫」がわからない。漢字も一般的な字でありすぎて、漢字字体からヒントを得ることができない。
また、取り付ける「位置」ってのがいろいろあるようで、 と、なると想定していた「アレ」とは別物なのかもしれない。
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時に革新的な方法で理解を助けてくれる『新明解』第七版を見てみた。
〔正式の日本建築で〕柱を両側から挟みつないで、釘で打ちつける横木。鴨居の上部に直結する。〔昔は槍などの武器を隠し入れたが、現在は装飾用〕
む? なんだかわからないことがいろいろあるな。「鴨居」すら、ちょっと辞書を調べてみないと正確なイメージが描けない。位置が「上部に直結」? しかも武器を「隠し入れた」? 「かけて」おいたんじゃないのか。
「謎が謎よぶ」状態だな。こういうときはしかたなく奥の手を出す。
「だくだく」に倣って「理解したつもり」でやり過ごすわけだ。
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それだけじゃあんまりかもしれないんで、『日本国語大辞典』から図を引かせてもらおう。
イメージはあってるんだが、どうも辞書の説明の文言と結びつきにくい。