国語辞典は「週末」をどう定義しているのかな、とちょっと興味をもった。まあ「土日のこと」なんてあっさり書いてあるのだろうと予測した。しかし辞書を見てみると意外に面白い。
たとえば『新明解』はこんな感じ。
しゅうまつ【週末】
その週の終り。〔日曜から週が始まると考えた場合も、月曜から週が始まると考えた場合も、土曜の午後もしくは金曜の夕方から日曜にかけての仕事休みを指す〕
気になることがふたつ。
- なぜ日曜から始まるときも、月曜から始まるときも同じなのか。
- 金曜夜から仕事がないというのは現状に即していると思うけれど、「土曜の午後」というのは「古い」んじゃないだろうか。土曜日半ドンなんて、メジャーな仕組みとしては残っていないように思うんだけど。
なお、『岩波国語辞典』はなんとなく「他力本願」な感じ。
しゅうまつ【週末】
一週間の(週日ではない)末。ウイークエンド。
「週日」が気になったら自分で調べろ、って感じがしてしまう(『岩波国語辞典』に「週日」は立項されている)。また「ウイークエンド」とのみ記して句点をうつ勇気が素敵。
まあ一応、『岩波国語辞典』の記事には続きがあって「本来は土曜から日曜にかけてを言う」という説明はある。
『日本国語大辞典』にも「なんでだろうな」がある。
しゅう‐まつ[シウ:] 【週末】〔名〕 一週間の末。一週間の終わり頃。金曜から土曜日、また、土曜の午後から日曜日にかけてをいう。ウイークエンド。
「ウイークエンド。」は岩波と同じ技法。ただし疑問というのは別の部分。すなわち「金曜から土曜日」という場合には終日が入るのに、なぜ土曜から日曜にかけてとなると「土曜の午後から」になってしまうのだろう。
いろいろ理由は考えられるけれど、まあ不思議な話だ。
『広辞苑』も、やっぱり気になる。
しゅうまつ【週末】
一週間の末。土曜日、また土曜日から日曜日へかけていう。近年は金曜日を含めてもいう。
上の語釈は、『広辞苑』としては「週末」に「日曜日」を含めたくないという態度表明なんだろうか。
また「近年」というのはいつ頃なんだろう。こういう言い方をされると、ぼくたちの年代(90年頃の社会人デビュー)は「花金」とか「花木」なんて言葉を思い出してしまうんだけど、「近年」の言葉はそれを意識しているのかどうか。
ちなみに、個人的にいちばん疑問を感じない(面白さはない^^)のは『三省堂国語辞典』かな。
しゅうまつ【週末】
(名)一週間の終わり。ウイークエンド。〔ふつう土曜・日曜をさす〕
何をもって一週間の終わりとするかとか、半ドンだとかそんなことはまったく来にせず、月曜日の反対側が週末に決まってんじゃん、というシンプルな語釈だ。
たいして面白いことは書いてないだろうと思いつつみた「週末」。結構たのしませてもらった。
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