岩波少年文庫版の『ドン・キホーテ』を読んでいる。その中に「だくあし」の表現が出てきた。
ロシナンテは主人に許しをこいもせず、せわしない跑足で、自分の欲望を伝えにいった。
— maeda, h (@torisan3500) 2023年4月4日
via 『ドン・キホーテ』(セルバンテス)https://t.co/fQUyPRVBLa
ちょっと驚いたのは、三省堂国語辞典の第7版に「跑足」(だくあし)が載っていなかったこと。三省堂国語辞典は、ちょっと前にも「削除用語」論争で盛り上がっていたけど、岩波少年文庫に出てくるような言葉を削って良いものかどうか。
ちなみに三省堂国語辞典以外はたいてい載せているようだ。ここは日本国語大辞典を引いておく。
だく‐あし
〔名〕
(「だく」は、馬の足音の擬音という)
馬術で、馬が前脚を高くあげてやや速歩(はやあし)に歩くこと。また、その足なみ。ししあし。だく。
「だくあし」。ぼくの年代の人は小説などでみたことがあると思うな。
ちなみに英語では「trot」という。
trot(ランダムハウス英和大辞典・抄)
— maeda, h (@torisan3500) 2023年4月4日
> v.i. (trot・ted,trot・ting)
1 〈馬などが〉速歩(はやあし)で駆ける,だくを踏む.
walk と run の中間の速度で,右前足と左後足,左前足と右後足とを交互に上げて走る
The horse trotted over the meadow.
「トロット」も翻訳英文学なんかにはよく出てくるね。もちろん国語辞典でも出てくる。
トロット
〔名〕
({英}trot )(1)乗馬で、馬の足並みの一つ。並歩(なみあし)と速足(はやあし)との中間の軽い駆け足。速歩。だくあし。
(2)「フォックストロット」の略。
自宅に三省堂国語辞典しかない人は、岩波少年文庫版(ものすごい簡略版)『ドン・キホーテ』を読むことができないのだなあ…。わりと悲しいお話だ。