『岩波国語辞典』の「英語」を見てちょっと驚いた。
岩波国語辞典の「英語」には全く同意できないな。
— maeda, h (@torisan3500) 2020年11月16日
> 学校の教科である「外国語」の一つ。英語を通じて、言語や文化に対する理解を深め、実践的なコミュニケーション能力を養うことを目的とする。
定義として、英語教育の目的としても不適切だと思う。
「英語」を「教科のひとつ」と矮小化するのも不適切だし、また、英語教育の目的が「実践的なコミュニケーション能力を養うこと」とするのにも納得いかない。
英語教育の目的は、ルール適用を身近な存在である「コミュニケーション」を利用しながら学ぶことであって、「実践的なコミュニケーション」とか、「異文化理解」なんてものを目的とするものではないと思う。
英語を「実用」的に使いたい人は、勝手に実用英語検定のお勉強でもすれば良いのであって、中学・高校の英語の目的はあくまでも「ルールの適用の仕方」を学ぶことだと思ってる。
いわゆる「岩波文化」は、しばしばこうして「教育」関連で外しまくる印象がある。
「ではどのように『英語』を定義すれば良いの?」という問いに対しては、『日本国語大辞典』を示しておこう。かなり好きな定義だし、岩波を見たあとでは一層すてきに感じるよ。
えい‐ご 【英語】
インド‐ヨーロッパ語族ゲルマン語派西ゲルマン語群に属する言語。イギリス、アメリカのほか、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどで母国語として話され、また、世界の多くの地域で公用語・共通語として用いられる。発音と正書法との食い違いが著しいこと、インド‐ヨーロッパ語族のなかでは語形変化にきわめて乏しいことなどが特徴で、語彙はラテン語、フランス語などを大量に取り入れている。日本では文化五年(一八〇八)の英艦フェイトン号の長崎入港が刺激となって英語の学習と研究が行なわれるようになり、外国語の学習と研究としては最も盛んである。日本語にはいった英語の単語は外来語のなかで最も多い。
「教科のひとつ」などと矮小化することなく、さらに「英語」の特徴にきちんと言及している。
たとえば「発音と正書法との食い違いが著しい」なんてことは、英語をちゃんと勉強したことのある人には耳タコの話。すなわち、これが英語の大きな特徴のひとつなのだ。
さらに「語形変化にきわめて乏しい」も極めて特徴的な話。さらにこれは「英語」の歴史にも関わる話で、「英語」の説明をするなら触れないわけにいかないもの。
『日本国語大辞典』の定義をみると、『岩波国語辞典』に対して「どれだけ寝ぼけてんだよ」なんて言いたくなってしまう。
ちなみに同じ岩波の『広辞苑』は『岩波国語辞典』ほどぼけてはいない。『日本国語大辞典』のように、簡潔に英語の「特徴」に言及することはできていないけれど、「英語」の(表面的な)特徴について言及できている。
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