気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

そろそろ「上弦の月」。「上弦」と「下弦」をまとめて「弓張月」とも言うそうだ

そろそろ上弦の月か。辞書を引いてみると秋の季語なのだそうだ。下は『日本国語大辞典』。

陰暦で七日頃の月。また、その頃。新月のあと、右半円状に見え、西半分が輝いて見える月。新月と次の満月の中間の頃。上(かみ)の弓張り。上弓張(かんつゆむはり)。《季・秋》

上弦の月を喰べる獅子(下)

上弦の月を喰べる獅子(下)

うっかり、なぜ秋の季語なのだろうと考えてしまった。『日本大歳時記』をめくる。「月」の部分の「解説」を見てみる。

春の花にたいして秋を代表する季の詞である。秋月のさやけさを賞して古来秋季とし、たんに月と言えば秋の月である。

読み終えてショックだった。そりゃそうだ。「月と言えば秋」。すると「上弦の月」もまた「秋」の詞に決っているじゃないか。 

『日本大歳時記』の記述をもうちょっと引いてみよう。

すなわち上弦は陰暦七、八日ごろの月であり、下弦は陰暦二十二、三日ごろの月であり、ともに弓張月である。片割月弦月・半月とも言い、月の弓・月の舟ともたとえる。上半月のしだいに丸くなって行く月を上り月と言い、満月をすぎた下半月の次第に欠けて行く月を下り月、また望くだりとも言う。

弓張月も『日本国語大辞典』を見ておく。

(弓に弦を張った形に似ているところからいう)上弦または下弦の月。弦月。弓張りの月。ゆみはり。ゆはり。

もちろん、秋の季語だ。 

椿説弓張月 (上巻) (岩波文庫)

椿説弓張月 (上巻) (岩波文庫)

ところで「弓張提灯」なるものもある。『大辞典』第二版の語釈が面白かった。

提灯の一。竹を弓のように曲げ、提灯をその上下にひっかけて張り開くようにしたもの。

何が面白いか。全くわからないのが面白い。 これがわからないのは提灯を「張り開く」というのがどういう様子を意味するかわからないからだ。

「弓張」とか「高張」と言われてもなんのことかわからないのだからしょうがない。

広辞苑の図版がわかり易かったので載せておこう。

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上は電子辞書(DAYFILER デイファイラーDF-X10000)からの画像。ちなみにこの電子辞書、本体で表示させる他にPCと接続して使うこともできる。ぼくはもっぱらPCと接続して使っているが、すると『精選版日本国語大辞典』の画像が他のものと入れ替わっていておかしい。

この「入れ替わり」についての詳細記事はこちらにある。

弓張提灯 「新九子弓張」

弓張提灯 「新九子弓張」