また『新明解』の話なんだけど、「寝宿」という単語を見つけた。
ねやど【寝宿】
結婚前の青年男女が統制のもとに寝泊まりした共同の宿舎。かつて男女交際の場とされた。
なんだ、そのいかがわしそうな場所は?
おまけに「統制のもとに」って、どんな「統制」だったんだろう? で、その「統制」に基づいた「男女交際」ってのはいったいどんなだったんだろう?
いい年をしつつこんな単語に興味をもってしまったぼくは、さっそく『日本国語大辞典』をさがしてみた。しかし「寝宿」なんて単語はないな。
がっかりしつつ『広辞苑』をみると、こちらには載っていた。
ねやど【寝宿】
近世以降、青年男女が社会人として修養のため合宿した家。男女交際の場とされた。なかやど。こやど。
いやあ、わからねえな。「社会人としての修養のための男女交際」?
どういう目的で、どういう組織が運営し、どのような立場の人が参加していたんだ?
なかなか手元の資料で詳しい話がみつからない。かろうじて『ニッポニカ』に少しだけ説明があった。
寝宿
結婚前の青年男女が集団で寝泊りする宿舎。泊り宿、遊び宿、寝屋、寝部屋なども同じ。男女別々が通例であるが、同宿のものもあった。専用の建物よりも民家の一室を気のあったツレ、ドシたちで借りる場合が多かった。この場合は集会所たる若者宿とは別になる。しかし娘組では娘宿がそのまま寝宿になる場合が普通であった。夕食後寝宿に集まり、翌朝起き抜けに帰宅するのが常だった。寝宿では夜なべも行われたが、遊びに終始してしまうことが少なくなかった。男女の寝宿どうしの交流は活発で、これにより恋愛、結婚に至る例も多くみられた。宿の主人夫婦たる宿親が宿子の指導や監督にあたったが、また若者たちの自治によって宿生活を運営するのが原則でもあった。寝宿の分布は東日本より西日本に、農山村より漁村に濃かったが、明治末年以後しだいに衰退した。
なんだろうなあ。ラブホテルのパーティールームみたいなのか? それとも「青年たちの自主性にまかせた修学旅行」とか?
ぼくたちの時代。「寝宿」的(?)行為はあったにしても、「システム」はなかったよなあ。
それにしても。『日本国語大辞典』にないのもなんだか不思議だね。
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