ふと「ぶす」という言葉を思い出した。男が女について言う言葉だ。最近、耳にしていないような気がするんだけど気のせいだろうか。
「ぶす」って言葉、あったよなあと、まずはふつうの国語辞典をひいてみた。権威に頼って『日本国語大辞典』からいくべきか。
ぶす
醜い女性の顔。また、その女性。女性をののしっていう語。
ちょっとすごいよな。「醜い女性」というものの存在は「当然のもの」として受け入れているわけだな。 「個性だよね」とか、そういう言い訳の存在しない、ストレートな定義。
こんな定義を見るとやはりちょっとアレを見たくなるな。そう『新明解』だ。
ぶす
美しいとは義理にも言いかねる容貌(の女性)。
「美しいとは言えない」と控えめなのかと思ってしまうけど、よく見ると「義理にも言いかねる」ってのはすごいな。ぼくは「義理」ならいろんなことが言えるけれど、『新明解』によれば、「ぶす」ってのは、その範囲を超えているらしい。
どうやら国語辞典は「ぶす」に冷たいらしい。もう少し温情はないのか。きっと小学生用の国語辞典になら、もうちょっとマイルドな定義があるんだろうと見てみた。
見てみたのは『チャレンジ小学国語辞典』(第五版)と、『小学新国語辞典』(改訂版)だ。
さて、どんなふうに定義しているのか。期待しながらみたんだけど、現実はぼくの思いを超えていた。どうやら双方ともに「ぶす」を立項していないようなのだ。
どんな事情で「ぶす」を立項していないのかは知らない。でも「ぶす」を載せない決定には、それなりに勇気がいっただろうな。
ちょっと「小学国語辞典におけるドラマ」を見たような気がする^^。
そういえば、松山千春にも「ぶす」を連呼する歌があった。オリジナルが見つからないので、知らない人のカバー映像をはっておこう。