中学2年生と「手紙」の話をしていた。それで、ぜったい知らないだろうと思いつつ、「デンポウって何か知ってる?」と問うてみた。
ひとりの子の答えが秀逸だったなあ。
デンポウって、鳩のやつですか?
この子は、デンポウってのは、伝書鳩を使ったメッセージ送信のことだと思ったみたいだ!
「デンポー」の「ポー」が、たぶんはとぽっポーを連想させたんじゃないのかな。「ポーと言えば鳩ね。それと手紙が結びつくってことは伝書箱のことよ!」なんて思ったんだろうなあ。
素敵すぎる。
ところでこういう子供たちに「デンポウ」を説明するにはなんといえばいいんだ? 咄嗟に思いつかなかった。当然、国語辞典を引いてみよう。
『チャレンジ小学国語辞典』なんかは、時代の向こうに消えつつある言葉をわかりやすく説明してくれているんじゃないのか?
でんぽう【電報】
電信で送る通信。
あはは。わからないなあ。「送る通信」って言葉はかなり謎だろう。
『小学新国語辞典』はどうだ?
でんぽう【電報】
電信によって通信文などを送る仕組み。また、その文。
立項した人は、これで「電報」が通じると思ったのかなあ。思ったのだとしたら、史上最強レベルの楽観主義者なんじゃない?
もしかして「電信」って単語にすごくわかりやすい説明があったりするんだろうか? と、ちょっとだけ期待して、同じく『小学新国語辞典』で「電信」も見てみた。
でんしん【電信】
電気のはたらきを利用して通信する方法。
わからねえな(笑)。「電気を使って」でなく「電気のはたらきを利用」ってのに、本質的な何かが隠れていそうだけど、わからないね。
なお、『新明解』も「電信によって行う通信」と定義するのみだ。もう消え行くものだから、どうでも良いのかな。
『三省堂国語辞典』も「電信を利用して、おこなう知らせ」なんていう、わかってる人にしか通じなさそうな定義だしなあ。
いろいろみてみると、『大辞泉』がけっこう頑張っているかな。
でんぽう【電報】
発信者の原文を電信で送り、先方で再現して受信者に配達する通信。
この定義は、「物体」を送るのでなく、文字を電送して、それを先方(受信者に近い場所)で印刷して届ける仕組みだということがわかる。この違いを記してくれれば、普通の郵便との違いがわかりやすいよね。
どちらかと言えばあまり好きじゃない辞書なんだけど、この定義はかなり気に入ったな。
ま、1番はやっぱり「デンポーとはポッポが通信すること」という中学生の定義だけどね。
なお、子供たちは「速達」ってのも知らなかった。また「エアメール」ってのは「エアギター」の仲間だと思っていたりしたな。時代は確かに変わっているのだ。
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