『日本国語大辞典』の見出しには「送り仮名」がない。すなわち「おくりがな」を引いた見出しには「おくり‐がな 【送仮名】」と記されている。
そんな『日本国語大辞典』を見ていて驚いた。
ひき‐だし 【引出・抽出・抽斗】
解説・用例
〔名〕
(1)引いて出すこと。
(2)机、箪笥(たんす)などに取りつけて手前に抜き差しのできるように作った箱。
(3)預金、貯金などを預け先から出すこと。
なんと「引き出し」は「抽出」(ちゅうしゅつ)と同じ字でもあるのだ。
これまで、そんなことを意識したことはなかった。
「抽出」の字を使う場合でも「ひきだし」と読ませたいなら一般的に「抽き出し」と書く。これなら無理なく「ひきだし」と読むことができ、ゆえに「ちゅうしゅつ」と同じ字であることに気づかなかったんだろう。
「抽出」も引いておく。
ちゅう‐しゅつ[チウ:] 【抽出】
解説・用例
〔名〕
(1)ぬき出すこと。ひき出すこと。いくつかの事物の中から、ある物・要素をぬき出すこと。
(2)他よりぬきんでること。
(3)液状または固状の混合物を溶剤で処理し、各成分の溶解度の差を利用して混合物中の特定物質を分離し取り出すこと。原料となる混合物が液体の場合を液々抽出、固体の場合を固液抽出という。
(4)数理統計で、母集団から標本をぬき出すこと。
同じ漢字で記されるふたつの言葉の歴史について詳しく知りたいと思ったものの、手元の資料ではよくわからなかった。
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