気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「物語」とは「モノ」が語るもの

ふと(ってか、放送大学の講義に影響されてのことだけど)、「ものがたり」を辞書でひいてみた。

日本国語大辞典では以下の通り。長くなるから(って、下の引用も十分長いけど)用例は略。

もの‐がたり 【物語】

(1)(─する)種々の話題について話すこと。語り合うこと。四方山(よもやま)の話をすること。また、その話。
(2)(─する)特に男女が相かたらうこと。男女が契りをかわしたことを婉曲にいう。
(3)(─する)幼児が片言やわけのわからないことを言うこと。
(4)(─する)特定の事柄について、その一部始終を話すこと。また、その話。特に口承的な伝承、また、それを語ることをいうことがある。
(5)日本の文学形態の一つ。作者の見聞または想像をもととし、人物・事件について人に語る形で叙述した散文の文学作品。狭義には平安時代の作り物語・歌物語をいい、鎌倉・南北朝時代のその模倣作品を含める。広義には歴史物語、説話物語、軍記物語などもいう。作り物語は、伝奇物語、写実物語などに分ける。ものがたりぶみ。
(6)浄瑠璃・歌舞伎で、時代物の主役が、過去の事件、思い出、心境の述懐などを物語る部分。また、その演出。「実盛(さねもり)物語」や、「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」の熊谷の物語などが名高い。
(7)江戸時代、家々の門に立ち古戦物語などの素読をして金品を乞うた者。
(8)近代文学で、ノベル(小説)に対し、一貫した筋を持つストーリーという概念にあてた語。また、…について述べたもの、の意で、題名に添えられることが多い。

 (2)はありそうな話だけど、(3)は「なるほど!」って感じ。用例をみたいでしょ(笑)。
 
語誌も面白いよ。

(1)動詞の「ものがたる」が見られるのは中世以降だから、「ものがたる」の名詞形というよりは、奈良時代に成立していた「かたる」の名詞形「かたり」に「もの」を付けて、ある種の「語り」を区別するために成立した語と考えられる。「万葉集」にそれらしい一、二例が散見されるが、多く見られるのは平安時代になってからである。動詞としては「(御)ものがたりす」というサ変動詞が用いられた。
(2)「もの」は、「鬼」「霊」など霊力をもったものをいい、もとは超現実の世界を語るという意であった。
(3)平安時代の「ものがたり(す)」は幅広い意味用法を有するが、その中で(5)のように文学のジャンルの一つを示す用語としても定着していく。

「ものがたり」とは、何かについて語るのではなく、「何かが」語るものであるのだなあ。

「物語」なんていうありふれた言葉で、ここまで盛り上がることができるとは思わなかったよ。いや、「盛り上がり」は伝わってないと思うけどね。ぼくはとても盛り上がった(^^)。


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