『ベネッセ表現読解国語辞典』は面白い。たとえば「手」について教わってみた。
まず「名詞」。
- 人間や動物の、肩や胴の上の方から出た部分。
- ある人や組織の支配下にあること。また、その人。
- 作業・仕事をする力や人。
- 物事のやり方や進め方。
- あるものを作り出す、すぐれた才能や技能。
- 手や腕の形に似ている物。
1番から結構考えた。なるほど「肩」のない動物もいるものなあ。
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全項目に例文がついている。たとえば2番は「仲間を敵の手から救い出す」など。また4番は「相撲取りが珍しい手を使って勝ち星をあげた」など。
「手」は名詞だけじゃない。次は「接頭語」。
- [指示後に付く]ひとまとまりの性質や種類。
- [形容詞に付く]程度のはなはだしいことを表す。
こちらにももちろん例がついているんだけど、言われてみないとなかなか難しい。たとえば1番は「この手の商品は売れ行きがよい」。なるほど、言われてみればそうだ。
そして「接尾語」。
- [多く、動詞の連用形に付く]その動作をする人を表す。
- [方向・方角を表す語に付く]その方向や方角のほうであることを示す。
- [形容詞の語幹に付く]その性質であることを表す。
- [数量・回数などを表す語に付く]その順序・数量であることを表す。
例文がやはり難しいと思うんだよな。1番は「文体は書き手の自由にまかせる」。3番は「厚手の生地でコートを仕立てる」。4番も思いつかなかった。「数手先まで見通す」。
ここまで読んでかなり満足なんだけど、この後「手」を使った「表現」についての解説が2ページ以上続く。たとえば「手のはたらき」についてのべるのでも、その「手」が「ものを持つ手」なのか、「仕事をする手」なのか、あるいは「世話をする手」なのか、はたまた「暴力・悪事を働く手」なのか、もしかすると「勝負をする手」なのかなどに分けて用法を解説している。
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普通に単語の意味が載っている項目も多いけれど、数ページに渡って解説している項目も多い。また「ときどき」などの項目に関連しては「頻度のものさし」が解説されている。すなわち、以下のような具合。
- つねに・たえず・いつも
- しじゅう・しょっちゅう
- よく・たびたび・しばしば
- 時折・時々
- たまに・まれに
読むうちについ考えこみ、意図しないうちに例文を作ってしまうという、頭を使わせる辞書だ。
- 作者: 沖森卓也,中村幸弘
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