一瞬「絶対多数」という言葉の意味がよくわからなくなった。原因は(ぼくの無知と)『大辞林』第二版だ(笑)。
議決などにおいて圧倒的多数であること。「与党が―を占める」
これが「絶対多数」の意味なのだという。 「絶対」を「圧倒的」に言い換えただけじゃないか(『岩波国語辞典』第七版・新版も同じような語釈になっている)。
まあ、「この場合は“絶対”という語を“圧倒的”という意味で使っているのですよ」という意味だ。もちろんそれで正しい。正しいけれど、そう言われてみると「圧倒的」を調べたくなったりするじゃないか。
気持ちがすっきりしないことは理解しつつ、しかし「面白いだろう」という予感で「圧倒的」を引いてみた。
他より非常に勝っているさま。「―に強い」「―な支持を得る」
あはは。ぼくたちは「絶対」→「圧倒的」→「非常に」という旅を経験したわけだ。「わらしべ長者」のような「ハッピーエンド」を迎えるのか、それとも永遠の劫火に焼かれることになるのか。
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追求はここまでにしよう。本題に戻って、他の辞書あたってみることにする。『広辞苑』第六版はまずまずすっきりさせてくれる。
(単に多いだけでなく)全体の中の過半数をこえること。
ああ、そうそう。「絶対多数」ってのは「過半数」を意味することが多いのだった。『大辞泉』 を見た瞬間にこの基本がどこかに飛んでいってしまったのだった。
『新明解』第七版もなかなか工夫している。
対立する他のすべてを合わせても及ばないほどの多数を占めること
なるほどね。「過半数」という用語を使わずに「過半数」の意味を説明しているわけだ。わかりやすいような、わかりにくいような、ちょっと悩みを感じるけれど、面白い工夫であることは間違いない。
ところでやや気になったので『新明解』で「過半数」も引いてみた。
半分より多い数。マジョリティ。
とのことだ。「マジョリティ」を入れることの意味がよくわからないけれど、まあ面白くはある。