「手水」という言葉にいつ出会ったのか忘れた。ただ、ぼくは30年以上、この語は「ちょうず」が唯一の正しい読み方だと思ってたな。
最近、コロナとの関連で「初詣」における「手水」のあり方についてよくニュースで流れる。そこでは多く「てみず」と発音しているね。ぼくはこれ、「現代風」の、もっというと「ちょっと乱れた」言い方なんだと思ってた。
ぜんぜん違うらしいじゃんね。たとえば『大辞泉』を見る。
ちょうず〔てうづ〕【手水】
《「てみづ」の音変化》1 手や顔などを水で洗うこと。社寺に参拝する前などに、手や口を水で清めること。また、その水。「―を使う」
2 《用便のあと手を洗うところから》便所へ行くこと。また、小便。
「―をさせて子供を寝かす」〈鴎外・雁〉
3 便所。手洗い。「―に行く」
むしろ「ちょうず」が後から生まれた読み方らしいじゃん。『日本国語大辞典』にも「(「てみづ」の変化した語)」という記述がある。
それはあくまでも現代の話なんじゃないかと古語辞典を見ても「てみづ」がもともとの言い方なんだよ、とある。
てう-づ 【手水】 〔チヨウズ〕
〔名詞〕 《「てみづ」の変化した形》 手や顔を洗い清めること。また、それに使う水。
あやうく「本来はチョウズなんだけどさ」とか知ったかぶりしちゃうところだったよ(笑)。
なんとなく「チョウズ」の方が「本格的」っぽいけどなあ(笑)。