マクベスの中に、息子を戦いで失った親が「向こう傷だったか?」と問いかけるシーンがある。息子の死に様を見た者いわく「はい。真っ向正面、額の傷」。
「向こう傷」の意味を知らない人も、このやりとりから意味が想像できることと思う。「勇敢に戦って負った傷」というような感じだ。つまり、当時の親にとって、子供が勇敢に戦ったのであれば、それが誉れになるという感じだ。
日本国語大辞典をみておく。
むこう‐きず[むかふ‥] 【向傷・向疵】
体の前面に受けた傷。敵と正面から戦って眉間(みけん)や額などに受けた傷。むかいきず。↔ 後傷(うしろきず)。
ふむ。「向こう傷」の意味は思った通りだ。ただ、向こう傷の反対語に「後傷(うしろきず)」なる語があることは知らなかったな。
とうぜん辞書にも載っている。同じく日本国語大辞典を引く。
うしろ‐きず 【後傷・後疵】
身の後部に受けた傷。特に、逃げるときに後ろから切られた逃げ傷。これを恥とした武士の倫理感を受け継いで、一般に卑怯(ひきょう)な、不名誉なものとされた。↔向こう傷。
「向こう傷」なる語はこれまでに何度も聞いたことがある。でも「うしろきず」という言葉は聞いたことがなかったなあ。
今回、マクベスを読んで一番の収穫かもしれない(笑)
# そんなあほなことを言うぼくは、シェイクスピアの面白さがわからないタイプの人間だ(^^)