「わはは。おもしれー」という記事を書くつもりだった。下は『三省堂国語辞典』第七版電子版の「浅草のり」。
「浅草のり」とは「三省堂国語辞典」によれば「いちばんふつうののり」 #辞書 #国語辞典 #食べ物 pic.twitter.com/u1Ag2JE2rj
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 2月 17
この「いちばんふつう」が面白くてツイートした。ところが『広辞苑』第六版によると、「浅草のり」は「ふつう」どころではないらしい。
三省堂国語辞典が「いちばんふつうののり」と定義する「浅草のり」、実は絶滅危惧種なんだそうだ via #広辞苑 #食べ物 #辞書 #国語辞典 pic.twitter.com/B18HHD2i8B
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 2月 18
もちろん、『三省堂国語辞典』が嘘を書いているわけではない。どういうことかを確認するために、『広辞苑』で「海苔」を見ておこう。
のり【海苔】
(1) 紅藻または緑藻などのうち、水中の岩石に養生する藻類の総称。特にアサクサノリ。近世以降、篊(ひび)を用いて養殖。
2番めの語釈にある、火にあぶって食べる、漉いて乾かした乾海苔を一般に「浅草のり」というのだ(言うらしい)。
一般的に「海苔」といえばその類の海苔を指すので、『三省堂国語辞典』のように「いちばんふつうののり」という定義になったわけだ。
Wikipediaによれば、現在の「浅草のり」は、「アサクサノリ」ではなく「スサビノリ」というようなものらしい(この辺り、全く知識がないので誤読して加減なことを書いているかもしれない)。
「一般的に浅草のりと言われる漉き海苔は、日本において一番メジャーな海苔ですよ」というのが『三省堂国語辞典』の立場なんだろう。ただ、ちょっと書き方を改めて欲しいところもある。
まずは「ほして食用にする」の部分。こう書けば、「浅草のり」が海中に生える海藻のことであると受け取られてしまう。しかしその意味での「浅草のり」は「普通」ではなく、絶滅危惧種なのだ。
また、『三省堂国語辞典』の「海苔」もちょっと考えたい。すなわち2番めの語釈に「アサクサノリを紙のようにうすく平たく干した食品。干のり」とある。こう書くと「浅草のり」の原料が「アサクサノリ」であるように受け取れてしまう。
「いちばんふつう」とか面白いこと言ってんなあという趣旨の記事になるはずだったのに、思わぬお勉強をしてしまった。「なるほどね~」などといいつつ午前2時。そんな今日はぼくの誕生日だ。
誕生日の朝から、一般的にいえば「ツマンナイコト」をいろいろと考えることが出来て、今年もぼくはとても幸せになりそうだ。