気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「くちなめずり」って言葉もあるんだよ。

くちなめずり」、『三省堂国語辞典』にはないみたいなんだけど、『新明解』、『岩波国語辞典』、『明鏡』なんかにはふつうに載っている。

存在を知らないと、人が使ったときに「ちげーよ」とか笑ってしまいそうな言葉だなあ…。『日本国語大辞典』からひいておく。

くち‐なめずり[‥なめづり] 【口舐】
舌で唇(くちびる)のあたりをなめること。おいしいものを食べようとする、また、食べた後の動作にいう。また、転じて、待ちかまえたり、ねらった相手にむかったりするときの動作などについてもいう。舌舐(したなめずり)。

そう。ようするに「したなめずり」のことなんだそうだ。

ただ、それにしちゃあ「空項目」にせずに立項しているのが面白いな(『大辞泉』もそうだ)。

当然に、違いが気になるから『日本国語大辞典』で「したなめずり」もひいてみよう。

した‐なめずり[‥なめづり] 【舌舐】
食物を欲して、また、食べた後に舌でくちびるをなめまわすこと。また比喩的に、格好の獲物を待ちかまえることにもいう。したねぶり。

 ふむ。中身も微妙に違うんだな。なぜなんだろう(ぼくにはわからない)?

せっかくだから『大辞泉』も比較してみようか。

くち‐なめずり 〔‐なめづり〕 【口舐めずり】
おいしいものを食べようとするときや食べた後に、舌で唇のあたりをなめること。転じて、ねらった相手や獲物を待ちかまえているようす。舌なめずり。

続いて「したなめずり」。

した‐なめずり 〔‐なめづり〕 【舌舐めずり/舌嘗めずり】
1 うまそうな飲食物を前にしたときなどに、舌を出して唇をなめ回すこと。
2 欲するものを熱心に待ち設けること。

やっぱり微妙に違う表現にしているんだな。「くちなめずり」に「舌なめずり」のことだと表記しつつ、でも「したなめずり」の方に「くちなめずり」を記さないのは両方とも同じなんだな。

国語辞典にはたまにこういうことがあるよね。最初に(どの言葉だったかは忘れた)こういう状況に出会ったときは、てっきり校正ミスかと思ってしまった。こうした例が結構多いところをみると、「ミス」というわけではないんだろうな。

「意図」のわかる方がいらっしゃれば、ぜひ教えていただきたいです。


ハリネズミ大吉くんペロペロ♪