気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

伊勢海老は伊勢のエビ?

ぼくは奄美大島生まれ。で、奄美大島では伊勢海老もよくとれる(過去形かもしれないが、現在のことはよくわからない)。

しばらくして。伊勢の伊勢海老を食べたぼくは「え、伊勢にも伊勢海老っているの?!」とびっくりしたのだった。

そしてびっくりした瞬間に「そうかっ、伊勢にいるから伊勢海老なのか!」と大いに自分を恥じたのだった。

しかしどうやら、ぼくは自分を恥じなくても良かったのかもしれない。

伊勢海老の語源は「威勢がいいから」という説があるそうなのだ(^^)。

その説に従うのなら、とうぜん「へ〜、伊勢にもイセエビがいるんだね」と驚いても良いことになる。

そうは言いつつ。なんか「威勢がいいから」説は、こじつけっぽいよね。きっと国語辞典なんかには「伊勢のエビ」とかなんとか書いてあるに違いない。

日本国語大辞典』を見てみた。

いせえび 【伊勢海老】
(1)イセエビ科の一種。茨城県から九州までの太平洋岸の岩礁に多くすむ。雄は体長三◯センチメートル以上になるが、雌は雄より小形である。体は円筒状で、尾部は扁平に近く、体色は濃褐色。頭胸部の甲羅は特に堅く、表面に多くのとげがある。第二触角は体よりも長い。五対の胸脚にははさみがない。肉は美味でいろいろな料理に用いられるほか、姿が美しいので祝儀の際にも用いられる。漁期は一〇月から翌五月頃。かまくらえび。学名はPanulirus japonicus 《季・新年》
(2)(よく跳ねまわるというところから)おてんばをいう、女学生間の語。

おや? 「伊勢のエビ」だということは書いてないな。語源も記していなかった。

もしかすると「伊勢海老」は「伊勢のエビ」ではないのか? 『広辞苑』をみると「鎌倉蝦」ともいうのだと書いてある。

「端的に説明するぞ」の立場をとる『三省堂国語辞典』はどうか。

いせえび【伊勢海老】
岩の多い海にすむ大型のエビ。りっぱなひげがある。食用。また、正月のかざりにする。

へ〜。めくってみた限りの辞書に「伊勢のエビ」の記述はないな。

「伊勢にもいるのか!」と驚いて自分を恥じたぼくは、少なくとも伊勢あたりの名産であると信じてきた。しかし、とりあえず国語辞典にそんなことは書いていないみたいだ。

結論として、だ。伊勢に伊勢海老がいることについて、驚いても良いということがわかった!

有意義な一日だった。


Japanese spiny lobster vs Cat 猫vs伊勢海老

伊勢エビの丸かじり (文春文庫)

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